米国のエグゼクティブのあいだでは男性の美容形成やエステが珍しくない。その流れは日本にも及び始めている。
「男は外見より中身」は、今は昔となった。ある上場企業では、アナリスト説明会の前に社長にスタイリストがつく。社長を若々しく見せることが企業イメージの向上につながるからだ。
美容大国の米国では、美容形成やエステの施術を受けるエグゼクティブが増えている。
「外見で人を判断するな」と言われるが、実際の他人に対する評価は外見的な特性、特に顔の造作による影響が大きい。たとえば、米国の心理学者、レズリー・ゼブロウィッツ教授は、『顔を読む―顔学への招待―』(大修館書店)のなかで、「童顔の人は頼りないか」「見なれた顔と美しい顔のどちらに引かれるか」などを心理学の視点で解き明かし、外見の持つ社会的意義をまとめている。
神戸大学准教授で美容外科診療科長の一瀬晃洋氏は、「日本ではこれまで外面の追求は美徳とされてこなかったが、外面は立派な社会的機能。容姿によって自信が持てれば、その精神的影響も大きい」と話す。
同大学病院の患者は圧倒的に女性が多いが、最近では、中高年男性が、顔のシミ、ほくろ、鼻の周囲の赤みなどの悩みで来院するケースが増えている。
瞼や口角のフェイスリフト
10歳ぐらい若返る
肌の加齢を感じさせるのは、たるみ、シミ、シワ。特に瞼や口角のたるみと、シミは老け顔のイメージを持たれやすい。
「最も効果が出るのはフェイスリフト。10歳ぐらい若返る人もいる」と一瀬氏は言う。
フェイスリフトとは、耳の付け根あたりを切開し、皮下の筋膜を引っ張ってたるみをとるというもの。最近の手術では傷もほとんど目立たなくなるという。
「顔だけでなく首のたるみも解消できる。ただし、数日間の入院とはれが引くのに2週間程度はかかる」(一瀬氏)という問題がある。