しかし、オリンピックが開催されるのはわずか2週間ほど。オリンピック開催は喜ぶべき話だが、東京がオリンピック以外の大規模イベントを定着させていくことが、オリンピックと並行して重要な課題ではないかと考えている。もちろん、東京マラソンのような大きなスポーツイベントもあり、東京に人を集めるという点では大きな役割を果たしている。

 私が経験したなかでは、東京で行われた最大のイベントは2012年10月のIMF総会だった。この規模のイベントを、トレードショーやコンベンションという形で定期的に実施できるといいのだが。観光やレジャーにしても、私見になるが、東京だけでなく日本全体でまだまだ多くの観光客を取り込む余地はあると思う。

交通アクセスのよさや安全性は魅力
語学レベルの向上は依然として課題

――観光客やホテル利用者にとって、東京という街はどれくらいの利便性や観光的な魅力があり、またどういった課題を抱えているのか? 総支配人のご意見をお伺いしたい。

 どこにでも簡単に行ける交通アクセスのよさや、高い安全性がキープされているのは東京が世界に誇ることのできる大きな魅力だ。街のどのエリアでもタクシーを捕まえることに苦労しない。

 ニューヨークやシンガポール、パリなどでは雨が少し降るだけで、タクシーを見つけることが困難になってしまうが、東京でそういった問題を耳にすることはない。東京の利便性と安全性は非常に高いレベルにある。

 あえて課題をあげれば、IMF総会の際に痛感したのだが、他国の主要都市と比べた場合にハイヤーの数が少ないことが気になる。小さな話に聞こえるかもしれないが、東京に滞在する海外からのホテル利用客の中にはビジネス等の目的でハイヤーを好まれる方もおり、一定の需要は存在するのだが、供給側がそれに追いついていない状態だ。

 IMF総会の際にもハイヤーを確保するために数日を要し、東京以外の都市のハイヤー会社にも応援を頼んだほどだ。個人的にはもう少しハイヤーの数があってもいいのではないかと思う。

 また、ハイヤーやタクシーに関していえば、運転手の語学レベルを上げる必要もあるだろう。日本語以外話せない運転手が少なくないのも事実で、この辺りが改善されると、海外からの訪問者にとって東京がより魅力的な街になるだろう。数ヵ国語で書かれたシートを用意してコミュニケーションを図るタクシー会社が出てきた点などは評価できる。

――2020年の東京五輪後に観光客が激減する可能性はあるのだろうか? また、それに対するリスク対策は業界内で議論されているか?

 そういった状況にはならないと思う。海外から日本を訪れる観光客の数は大幅に増えてきている。私は2008年からパーク ハイアット 東京の総支配人を務めているが、その間にリーマンショックや東日本大震災を経験し、それに伴う宿泊者数の激減も経験した。

 現在はそういった停滞期から抜け出し、ビジネスとしては上昇を続けている。世界各国の旅行代理店の関係者と話をする機会があるのだが、各国で日本に対して強い関心を持っているのは間違いない。

 6年後に東京で開催される五輪はいくつものビジネスチャンスを生み出すだろう。しかし、大会そのものは日本を世界にアピールするための最高の広告だと私は捉えている。五輪期間中に日本の様々な情報が世界に向けて発信されることで、海外メディアの目は東京だけではなく、日本の地方都市にまで向けられる可能性がある。

 そうなれば、五輪後に日本全国のホテル業界やレジャー業界がさらに活性化する。そのためには我々も五輪後を見据えての活動を意識して行う必要があるだろう。