要は、今の仕事を効率的にやっているかをみます。ムダがあるなら、それを改善していく。結果、仕事はラクになり、その手法をみんなで共有します。また、新たな気づきがあれば、その仕事の改善を促していく。仕事をラクにしていく協力をみんなでしていくわけです。

 日本人はみな勤勉なので、サボることを念頭に置く必要はありません。ひとたび視点を変えるだけでも、ずいぶん変わるものではないでしょうか。ここで重要なのは、社員一人一人が会社における貴重な財産だと伝えることです。見えない未来に不安を抱えているのでしょうから、社長も、新人も、皆平等に意見を言える場を設けることを著者は提唱しています。仕事をラクにする発言とは、会社の利益につながるのです。

2.最小単位の仕事をチャート化する

 業務プロセスの可視化をするにあたり、一番小さな仕事の単位をつくっていきます。その最小単位の仕事ができるかできないか、できるならどのレベルでというのを調べていきます。これも仕事の幅をみるために必要で、スキルのない社員を追い込むわけではありません。むしろ、仕事の幅を増やしてもらうために必要なこと。そのように業務を時系列に洗い出していくので、それをみながら新人は覚えればいいし、できる仕事が増えれば、楽しくなります。

 これらを続けていくと、不思議なことが起こります。

 会社に部署に発生している仕事を、業務マニュアルとして管理できるようになります。トップが現場でどのような仕事をしているかなんて、把握しているほうが少ないでしょう。ただ、そのマニュアルには、すべてが記されています。ひとたび、紐解けば、どの部署でどんな仕事が発生しているのかは一目瞭然です。

 企業規模が大きくなればなるほど、どこで何をしているかわからず、また縦割り組織が、セクショナリズムを働かせ、見えない壁が生まれてしまいます。

 すべての業務を把握し、誰がどの仕事をどのレベルでできるかを把握したとき、真のマネジメントができるのです。