日本では新年度がスタートし、中国では各社の2013年末の決算報告が上がっている。中国でトレンドを牽引するネットの有力企業の決算発表から、中国のネット業界を紹介したい。
今、中国のネット業界では「百度(Baidu)」「阿里巴巴(Alibaba)」「騰訊(Tencent)」の3社の勢いが突出している。3社の頭文字をとって「BAT」とも呼ばれる。百度は検索サイトで、阿里巴巴はオンラインショッピングサイト「淘宝網(TAOBAO)」「天猫(Tmall)」や、支払サービスであり電子マネーである「支付宝(Alipay)」で知られる。
中国のネット企業で最も大きな3社の中でも、阿里巴巴がもっとも稼いでいて勢いがあると言われているが、現在非上場である。ただし阿里巴巴に関しては大株主である米ヤフーが同四半期の阿里巴巴の決算を簡単に紹介している。同社の2013年第4四半期の売上高は前年同期比66%増の30億5800万ドル(約3150億円)、純利益は13億6000万ドル(約1400億円)となった。この数字は四半期の数字なので、後述するBATの百度や騰訊よりも数字が大きいことになる。
オンラインゲームが収益源
任天堂やガンホーを大きく凌ぐ売上高
騰訊を紹介しよう。中国を代表するネット企業のひとつだが、昔からインターネットのトレンドを見ている中国人は「他社の模倣サービスばかりで伸びてきた」という印象を持っている。見方を変えれば、騰訊はSNSで有名ではあるが、一方で様々なネットサービスに手を出しているから有名、ともいえる。
最新の決算レポートによれば、年間の売上高は前年比38%増の604億3700万元(日本円で1兆円弱)で、純利益は170億6300万元。同社のチャットソフト「QQ」のアクティブユーザーは8億800万、同時オンラインユーザー数は1億8000万、「微信(WeChat)」は前年比121%増の3億5500万、ブログサービス「QQ空間」ユーザーは6億2500万にもなる。QQのアカウントで、同社のゲームやブログなど様々なサービスが利用できる。また中国でも屈指のニュースサイト「QQ.com」を運営しているほか、クーポンサイトやオンラインショッピングや検索など様々なジャンルにジャンルを広めている。
同社の業務別売上では、オンラインゲームが320億元、オンラインショッピングが98億元、ネット広告が50億元となっており、オンラインゲームが稼ぎ頭になっている。年間でも半分以上がオンラインゲームである(ピンと来ない人のために参考を出すと、任天堂の通期業績予想で売上高を5900億円〈前期は9200億円〉と予想、ガンホーは1630億円だ)。このオンラインゲームとはPCゲームのみで、フィーチャーフォン向けゲームの売上が6億元とあるが、これにはスマートフォン向けゲームは含まれていない。