「今回の診療報酬改定は急性期病院にとって全負けだ」と大手民間病院の幹部は言う。それでも、7対1病床を捨てて地域包括ケア病棟に移行すると表明した病院は目下のところ、ほとんどない。多くの病院が7対1病床の維持を希望している。

 国の政策誘導には常にアメとムチが用意される。ハードルを乗り越えて7対1病床で生き残った暁には、より手厚い診療報酬が用意される。だから外されたはしごから飛び降りるのではなく、上に掛けられたはしごを上りたがるのだ。

 7対1病床の基準の厳格化などへ対応するために与えられた猶予期間は9月末までの半年間(一部は1年間)だ。それまでに全国の病院は、経営決断と運営の再構築を迫られるが、「いずれにしても減収を覚悟している」という病院が多い。

病院看護師14万人が消える
医師・看護師に問われる覚悟

 いち早く7対1病床の一部を地域包括ケア病棟に切り替えるという再構築を決断した横浜中央が直面した最大のハードルは、人材の手当てだった。

 医師の説得、看護師の面接を重ね、ようやく地域包括ケア病棟に配置するスタッフを確保し、6月の開設にこぎ着けたという。横浜中央に「1つのモデルとなってほしい」と求める尾身理事長の言葉には、1病院にとどまらずグループの他の病院も再構築に動くという意思がのぞく。

 JCHOに限らず、全国の病院で始まるであろう再構築は経営上層部だけで完結する話ではない。現場で働く医師や看護師もリストラや異動、あるいは現場運営の大きな変化など覚悟を求められることになる。

「10月までに院内の運営体制を大きく変える。これは職員の異動を伴うものだ」。現場のリストラ策を念頭に大手病院の幹部はそう明かす。現場は病院上層部の動きをどれだけ察知しているのだろうか。