5月下旬に発表された2008年3月期決算において、国内大手銀行6グループが、合計で対前期比マイナス34%、1兆8000億円の大幅減益に陥ったことが判明した。その背景には、株式市場の低迷で投資信託の販売手数料収入などが減少したことに加えて、サブプライム関連の保有有価証券から多額の評価損失が発生したことがある。

 とりわけ、サブプライム関連の損失は全体で約9800億円にも上り、大手銀行の収益を大きく圧迫している。今後も当該債券市場の低迷が続くようなら、「一段の損失発生は免れない」と懸念されている。

 また、今後、原油価格の高騰などによる世界的な景気減速が鮮明化する可能性が高く、国内企業の収益状況は一段と厳しさを増すことが予想される。こうした状況下、わが国の大手金融機関が、今後欧米の金融機関のような“稼げるビジネス・モデル”を構築できるか否かに、市場の注目が集まっている。

予想以上に拡大した
サブプライム関連損失

 まず、大手銀行の08年3月期決算で最も注目されるのは、サブプライム関連の損失額が急拡大していることだ。わが国の大手銀行は、米国の信用力の低い個人向け住宅ローンを債券化したRMBS(住宅ローン担保債券)やCDO(合成債務債券)などを保有し続けており、その保有債券から合計9800億円もの損失を計上している。6銀行グループの「本業の稼ぎ」を示す業務純益は合計で約3兆3000億円であることを考えると、そのマグニチュードの大きさがよくわかる。

 問題は、今後、損失がさらに拡大する可能性が残っていることだ。各行とも、「今回の決算でサブプライム関連の損失計上は峠を越した」との認識を示している。しかし、RMBSなどの市場は現在でも投資家の動きがほとんど見られず、「開店休業」状態だ。米国の住宅価格の下げ止まりに歯止めが掛からず、住宅ローンの延滞率が上昇するようだと、当該市場が一段と機能低下に追い込まれる懸念もある。