米国金融危機でシティバンク、バンク・オブ・アメリカなど米国銀行が壊滅し、米国では銀行の国有化が話題になっている。今年に入って中国株のみが上昇、中国経済の存在感が増している中、とうとう中国の銀行が世界の銀行のトップにのぼりつめた。香港に上場している中国工商銀行が、時価総額で世界第1位になり、トップ3位は中国が独占した。
中国では金融危機の影響は、銀行の業績全体の2-3%にしか及んでいない。中国の四大国有銀行といえば中国工商銀行、中国建設銀行、中国銀行、中国農業銀行であるが、そのうち農業銀行以外の3行がなんと世界のトップ3にランキングされた。1位は中国工商銀行で時価総額は1839億米ドル(約17兆9519億円)、2位が中国建設銀行1084億米ドル(約10兆5817億円)、3位が中国銀行1072億米ドル(約10兆4646円)である。六大国有銀行の一つ中国交通銀行も10位に付けた。(3月1日現在のレート)
一方、金融危機のダメージは少ないといわれていた日本の銀行は、三菱東京UFJ銀行が、かろうじて8位にランキングされるにとどまった。時価総額は約5兆2816億9100万円である。
2005年度に三菱UFJフィナンシャルグループが4位を占めた時の時価総額は18兆4461億円だった。しかし、金融危機で三菱UFJフィナンシャル・グループなど三大メガバンクが喪失した時価総額は合計2兆5500億円に達し、収益が悪化している。日経平均株価は、2月20日には、昨年10月27日のバブル後安値7162円に次ぐ安値水準にまで落ち込んだが、特に三菱東京UFJ銀行は半年前の3分の1の400円台にまで下がっている。
不良債権が多いなど批判が高かった中国の銀行が上位3位を独占するなんて、米国の金融危機がなかったらありえないと思うかもしれない。しかし、中国の銀行は世界のどこの銀行よりも確実に、そして早急に改革を促進してきたともいえる。
4大国有商業銀行の不良債権比率は03年末の20.4%から05年末には10.5%に低下した。さらに主要国有銀行では2007年6月期で不良債権率は3.23%までに低下した。リストラ、不良債権処理、外貨準備高、公的資金225億ドルなどの資本注入、株式会社化、株式市場への上場などの矢継ぎ早の改革により目に見える成果をあげた。世界的なバブルで浮かれている中、中国政府による戦略が成功したことは認めざるを得ない。