ダイハツ、スズキは、国内軽自動車で培ったノウハウを活かしたモデルをそれぞれの注力市場で展開。三菱は、Pajeroなどで培ったSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)やピックアップトラックの技術/ブランド力を活かし、タイで一定の成功を収めてきた。ここで、スズキや三菱は中期的に注力する新興国の範囲を拡大させる意向であり、ダイハツも親会社であるトヨタとの協業範囲が広がる方向にある。ただし、あくまでその注力市場は各社の「強み」を活かせる市場に留まる点が、3社の特徴と考える。

(4)トラック2社:グローバル市場へのアプローチは「日本+特定新興国注力型」

 乗用車メーカーと事業モデルが異なるものの、いすゞと日野のトラック2社も、トラック業界のグローバル化へのアプローチは、上記(3)の「日本+特定新興国注力型」と言える。

 いすゞはタイのピックアップトラックの収益貢献が大きい一方、日野の収益源は商用車(トラック)中心、という2社間の差異はあるが、母国市場である日本に加え、長期成長市場であるASEANに注力している点では(3)のグループに近似している。これは、タイやインドネシアへはインフラ面の問題(道幅の狭さ)などにより、他のグローバルメジャーが参入しづらく、日系両社のアドバンテージを活かしやすい点などが影響していると言えよう。

短期業績展望:
14年度は国内外ともに不安要因が多い

 本来であれば、グローバル化する自動車産業に対する各社のアプローチの違いが各社の業績動向の差異にもつながると考えるのが自然であろうが、15年3月期は日本=消費増税前の駆け込み需要からの反動減、米国=乗用車セグメントの競争激化(ただし、市場自体は伸長)、ASEAN=タイの低迷継続、など、日系各社の主戦場の事業環境が総じて厳しい。

 欧州や中国は相対的に堅調に推移すると見るが、欧州販売比率は各社総じて低く、また中国は12年の不買運動に見られるように、政治的なリスクも孕む点に留意が必要である。そのような環境下、弊社では、個別要因にて株式市場の期待を上回る業績を達成できる銘柄に注目している。