論理的表現が可能な“数学語”が大きな武器になる

 もう一つ、数学を学ぶうえで生徒たちに身につけてほしい力があります。それは、コミュニケーション手段としての数学です。和文数訳、数文和訳という言葉があるように、これからは他者を想定し、数学的な根拠に基づいて論理的な表現を用いることが求められます。

 たとえば前述の折込チラシの調査結果。言葉で説明すると長くなりますが、グラフや表にすれば、簡潔に伝えることができます。調査結果をまとめる作業では、次のポイントを重視します。 (1)難しいものを単純化する (2)誰が見てもわかりやすく視覚化する (3)相手を納得させる、という3つのプロセスをたどることです。こうした数学的なアプローチは、「論理的思考力」を育むと同時に、物事をわかりやすく相手に伝える「コミュニケーション能力」の向上にも貢献します。これらの力は、社会に出てからのさまざまな場面で効果を発揮することでしょう。

 数学教育は、単なる“数式の詰め込み”ではなく、物事を論理的に考える能力を身につけ、ひらめきや発想を育むことこそが重要。情報があふれるグローバルな時代だからこそ、共通言語としての“数学語”は大いに役に立つはずです。

 

PROFILE
室岡正義(むろおか・まさよし)
和洋国府台女子中学校・高等学校 数学科教員。東京理科大学卒業後、和洋国府台女子中学校・高等学校に勤務。身の回りの中の数学を取り入れた授業を実践。第70回全国算数数学教育研究大会(日本数学教育学会主催)にて実践内容を発表。学術論文:「表などの作成による問題解決例(NO464)」・「多項式の乗法公式と因数分解(NO477)」・「課題学習の試みとその効果(NO489)」 いずれも『数学教育』(明治図書)。

 

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