キエフ市内で始まった開票作業の様子 Photo by Konstantin Chernichkin

大統領選挙が行われたウクライナ。これまでの特別レポートでも取り上げたが、南部のクリミアは「住民投票」を経てロシアへの編入を決定。オルガリヒ(新興財閥)の出身地や経済の中心地として知られるウクライナ東部では、当初クリミアのような武装蜂起が発生する確率は低いとされたものの、武装勢力とウクライナ軍の武力衝突は連日のように発生。東部ドネツク近郊では22日にウクライナ軍部隊が襲撃を受け、16人の兵士が死亡している。「脱露入欧」、「経済の再建」、「東部の分離・独立問題への対応」など、いくつもの問題を抱え、いくつもの争点が議論されるなかで始まった大統領選挙。新大統領誕生によって何が変わるのか。有権者は新政権に何を期待しているか。再び市民やジャーナリストに話を聞いた。

最大15%の有権者が
選挙妨害で投票できない!?

 現地時間25日に投票が行われていたウクライナ大統領選挙。世論調査でも多くの支持を集めていたように、“チョコレート王”ポロシェンコ氏が勝利した。ただ、投票に至るまでは混乱を極めた。

 ロシアのプーチン大統領は3月18日、ウクライナのヤヌコヴィッチ政権崩壊後にロシア系住民を中心に樹立された「クリミア自治共和国」のロシアへの編入を認める条約にサインした。これにより、クリミアの住民がウクライナ大統領選挙で投票を行う可能性はほぼ無くなった(ウクライナ側はクリミアの住民にも投票権を認めたままでいる)。

 一方、騒乱の続くウクライナ東部では親ロシア派による選挙への妨害活動が現在も続いており、この地域に住む有権者の多くが投票できない事態が危惧されている。ロイター通信は24日、ウクライナ全土の約3600万人の有権者のうち、最大で15%程度が選挙妨害などによって投票できない状態にあると伝えている。