早朝、うちの愛娘、愛犬の「らら」を連れて散歩に行くと、中国におもちゃ工場を持つ大型犬の飼い主T氏と出会った。
公園を回りながら、中国をめぐるビジネス環境を中心に雑談した。最盛期、従業員1000名以上をもつほどだったが、今はだいぶ人員を減らしてきた。原因は人件費の高騰だ。従業員募集も厳しくなっている。東南アジアに移転することも考えられるが、移転すれば人件費は確かに安くなるが、生産性や効率も下がる。従業員の熟練度も満足できないから、結果としてかえって製造コストが高くなってしまうという悩みを抱え込んでしまった事例もあったと教えてくれた。東南アジアへの移転に、もう一つの悩みがある。市場となりつつある中国から遠ざかってしまうことだ。
この動揺する気持ちは痛いほど理解できる。日系企業だけではなく、中国企業も安い労働力を求めてベトナムなど東南アジアに進出している。最近、ベトナムで反中デモが発生したときに、あれだけの中国企業が被害を受けたことで、逆にその進出の規模と広さを印象付けた。
やはり中国市場に入り込み、ある程度のシェアをおさめれば、工場運営はもう少し楽になるだろう。それは、犬の散歩を終えた頃に私とT氏が達した共通の認識だ。
中国で流行る「電商」とは
中国市場というと、最近、「電商」という言葉が流行っている。私も冗談半分に、周りの日本企業関係者に「中国の消費者を相手に物を売ろうとしたいなら、まず電商という言葉をきちんと理解しておかないと」と話しかけている。
「電商」とは電子商取引の意味だ。一般消費者にとっての「電商」は実はネット通販のことを指している。そのネット通販の流行が今や中国市場を語るときの最大の話題にもなっている。