電子キーボードで有名なローランド。電子音楽の規格である「MIDI」を開発したとして、創業者がグラミー賞を受賞したこともある名門企業だが、13年3月期までの4期連続で最終赤字を記録するなど、昨今は苦しい状況に陥っていた。そんなローランドが5月14日、MBO(経営陣による買収)を実施し上場を廃止すると発表した。その狙いはどこにあるのか、三木純一社長に聞いた。(聞き手/週刊ダイヤモンド編集部 大坪稚子)

みき・じゅんいち/1955年3月1日生。1977年にローランド入社し、主に開発畑を歩く。94年取締役、99年常務取締役に就任後、2013年4月より現職。 Photo by Wakako Otubo

――まず、今回発表されたMBOのスキームを教えてください。

 私が代表を務める会社が1株1875円でTOB(株式公開買い付け)を実施し、その後にタイヨウ・パシフィック・パートナーズに株式を引き受けてもらい非上場化するというものです。買い付け総額は416億円で、株式非上場後も私が社長を続けます。今年に入ってから検討に検討を重ねてきました。

――タイヨウ・パシフィック・パートナーズとの関係はどのようなものなのでしょうか。

 彼らは7年来の株主で、長期の視点で投資をしてもらっています。ローランドの技術的な優位性についても評価してくれており関係は良好です。代表のブライアンさんは日本語がぺらぺらで、投資家の視点でアドバイスしてくれます。タイヨウさんにとってもローランドが日本初のMBOで、何としても成功させたいという気合いを感じます。

――MBO実施後の具体的な再建策は、どのように考えていますか。

 どこの工場をどうするのかといった具体案について今の時点では言えませんが、事業の選択と集中を進める方針です。