ただ、高齢者に地方へ出て移ってくれと突然言ってもなかなかその土地に馴染むのは難しいことだと思います。ただ、人には4回住む場所を変えるタイミングがあるらしいですよ。まず18歳の進学のとき、22歳の就職のとき、40歳頃の時期、そして60歳の定年です。ただ、60歳の定年を迎えてから考えても手遅れなので、できれば40歳くらいのときに、魅力あるふるさとに回帰ができればいいですよね。

 もちろんそうは言っても東京を離れられない事情もありますから、将来のことを考えて、税金を半分東京都に収めて半分ふるさとに収めて、戻った時に有利になる権利を獲得できるなど、政策としてふるさとに戻ったときに優遇されるサービスを受けられるような仕組みづくりが必要でしょう。

 馴染みのない場所にいきなり移れというのではなく、事前にいろんなところで馴染みをつくって将来に備える。そうでなければ東京では、本当に一握りのお金持ちしか介護を受けられないほど、極端な需給の不均衡が起きると思います。

東京を「アジアの成長センター」にできるか
「移民」の前に「高度人材」活用を

――2040年の人口減は、その先の未来にどのような影響を引き起こすと予想できますか。

 対策を打たなければ、地方では500以上の市町村がほぼ消滅に瀕し、東京都は高齢化で苦しんで成長センターや国際金融都市となるという余力を持てなくなります。そして、日本全体が機関車を失ったように、アジアの中で地位を下げていくことになるでしょう。

 これまで東京は、地方から若い人材を集めて成り立ってきました。今、低賃金の外食チェーンでアルバイトが集まらないなどの問題がすでに一部起きていますが、あれは将来起こることのはじまりに過ぎません。東京がもっと高付加価値な金融センターになっていれば、俗にブラック企業と言われるような若い人をこき使うモデルなど成り立たなかったでしょう。

 今後は東京も日本全国から若い人たちを集めるのではなく、地域は地域で若い人が流出するのを抑えるため働く場をつくるべきです。また東京も若い人材が必要なのは確かですから、そこはシンガポール人やインド人など、国際的に優位な人材をもっとオープンに集めて、開かれたアジアの成長センターの方向を模索するとよいでしょう。地方と東京で限られたものを奪い合うような形にしない知恵が必要ではないでしょうか。

 東京オリンピックを過ぎた2030年頃から、高齢化はより顕在化してきます。それまでにいろんな筋道をつけておき、「極点社会」になる可能性を抑えるべきです。