「障害は一つの個性。今の社会は
その個性を十分に発揮できない状態」

「障害者」という意味を持つ英語の単語は辞書を引いてみるといくつも出てくるが、これまでよく使われていた「Disabled」という言葉が不適切だという認識が欧米では広まっている。障害者を「Disable」な存在にしてしまうのは障害者たちなのではなく、何らかの分け隔てがある社会環境ではないかという考え方が背景にある。

 認識を少し変えてみるだけで、これまで障害と考えていたものが個性として受け止めることも可能になる。人はみな顔の形から性格まで、他人と同じものが無いなかで生活しており、突き詰めて考えると、これまで障害という言葉で一括りにしていたものを個性の1つとして考えることも可能ではないだろうか。

 現実社会に目を向けると、まださまざまなバリアが存在し、それによって障害者は自らの個性を十分に発揮できない状態にある。施設などのインフラや制度を整備していく必要もあるだろうし、同じ社会で暮らす私たちの心の持ち方にも変化が求められるのだろう。ハードとソフトの両面でこれまで存在していた壁をなくし、障害を個性として受け入れられる社会にすることが一番大切な目標だ。6年後のパラリンピックが東京で開催されるのは最高のタイミングだと思う。

――障害者スポーツの普及において、モデルとしている国や地域はあるのでしょうか。

 特定の場所をモデルにしているわけではなく、それぞれの国で行われている障害者スポーツの普及活動のなかから、日本でも使えそうなアイデアなどを参考にさせていただいている。

 イギリスやアメリカ、オーストラリアといった国々のモデルをそのまま採用することはないが、日本で普及活動を行う際にどういった部分を取り入れることができるかは常に考えている。

――北京とロンドンで行われたパラリンピックでは、日本のメダル獲得数が大会ごとに減少し、その理由としてスポーツ行政における縦割りの弊害や、障害者が利用できるスポーツ施設が足りないといった事が挙げられました。障害者スポーツの普及と発展のために、今後何が必要となるのでしょうか。

 たしかに北京とロンドンの順で獲得メダル数が減ってしまったのは事実で、その理由の一部が縦割りの弊害などの問題に起因することは間違いないと思う。原因は1つや2つで片付けられるものではないが、障害者スポーツの振興における総合的な施策がしっかりしていない点が一番大きい。総合的な施策が不十分であったため、昨年3月に今後の障害者スポーツ振興の柱となるビジョンを作成し、公表した。