昨年発表したビジョンについて簡単に説明すると、障害者スポーツにおける裾野をより広くしていくための行動が必要で、広い裾野を作ったうえで、そこから頂点の高いピラミッドを形成していこうと考えている。広い裾野と高い頂点の両方をバランスよく作り上げることが重要で、お互いが好循環することが大切だ。

 両面の取り組みを同時に進めていくのがビジョンの最も大切なテーマだ。2020年、2030年に日本の障害者スポーツがどのような形になるべきかを想定し、細かいアクションプランも作り、昨年からこのビジョンに沿って活動を開始している。

 裾野を広げる活動のなかでは、各地域にあるスポーツ施設のバリアフリー化の促進や、各地域で障害者スポーツの指導者を養成し、指導者をバランスよく地域のスポーツ施設に配置することを目標に置いている。

 施設不足だけではなく、指導者不足も大きな問題として考えなければならない。現在、日本全国で約2万人が障害者スポーツの指導者として登録されているが、この数では障害者スポーツ全体をカバーするにはまだまだ足りないし、なによりも現在登録してもらっている指導者が、実際に活躍できる場所にまだまだ限りがあるため、約2万の指導者数が十分に活かされていないのだ。

 地域のスポーツ施設に障害者スポーツの指導者が普段からいて、日常的にスポーツに触れてもらえる環境作りを早急に進めていく必要がある。障害の種類や程度も考慮しながら、誰もが普段からスポーツを楽しめる環境を作り上げることが、結果的に障害者スポーツの普及と強化で大きな力となるだろう。

「企業にはスポーツ資産が眠っている。
企業との協力体制をつくり、活かしたい」

――最近ではトップアスリートのセカンドキャリア支援に積極的な競技団体も増加していますが、障害者スポーツのトップ選手に対するキャリア支援などはどうなっているのでしょうか。

 競技団体によって差もあるが、全ての団体がアスリートのセカンドキャリア支援を行えているわけではない。アスリートにとっては、選手生活終了後の生活をどう組み立てていくべきか、大きな問題として存在している。パラリンピックで活躍している選手や、これから活躍が期待される選手に対し、生活基盤をきちんと安定させて、競技人生に100パーセント打ち込める環境を作り出すことが各競技団体を含む私たちの使命だと思う。