スタッフの数や予算が決して多いとは言えないなか、競技団体は原則として団体や選手個人で協賛者を集めることになっているが、競技団体そのものがまだ脆弱な状態で、選手個人でスポンサーを獲得するのも非常に難しい話だ。日本障がい者スポーツ協会としても、競技団体やアスリートを可能な限りサポートしていきたい。

 企業とどのような関係を築くべきかも、しっかりと考えておくべき点だろう。各競技団体やアスリートをスポンサーとして経済的に支援してくださる企業の存在は重要であり、企業からの経済的なサポート無しでは障害者スポーツの普及や強化は現実的に困難になる。また、選手やコーチのセカンドキャリアとして、企業が雇用を生み出してくれることによって、障害者スポーツがさらに安定することは間違いないだろう。

 もう1つ大切なポイントとして挙げておきたいのが、日本の企業がこれまでスポーツを大事にしてきた歴史だ。それぞれの企業にスポーツ資産が蓄積されており、それらは施設や人材であり、またスポーツに関するさまざまなノウハウであったりする。

 こういった企業のスポーツ資産を活用して、競技団体やアスリートを育成という形で支援していただくことも可能ではないだろうか。この分野での協力体制も確立していきたいと考えている。

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――日本障がい者スポーツ協会のオフィシャルスポンサーとなる企業が昨年から急増しているが、これは2020年東京五輪が決定したことが大きな理由なのでしょうか。

 昨年3月にビジョンを発表し、日本の障害者スポーツをどのような形で普及・強化させていくのかを、具体的に示したことが大きかったのだと思う。その上で2020年の五輪の開催地が東京に決定したため、障害者スポーツ協会の取り組みに協力してくれる企業が急増した。

――障害者スポーツの裾野を広げながら、強化部分であるピラミッドの頂点も高くしていく取り組みや、全国のあらゆる地域で障害者スポーツが日常的に行える場所や指導者を確保していく取り組みは、Jリーグの理念と近いものがあるのではないでしょうか。FC東京の前身であった東京ガスで選手としてプレーし、Jリーグの立ち上げにも尽力された鳥原会長からご覧になって、Jリーグや日本サッカー協会が行ってきた普及・強化活動のなかで、障害者スポーツに活用できる部分は存在するのでしょうか。

 基本的に同じものだと考えている。Jリーグの構造を見ればわかるように、ジュニア、ジュニアユース、ユースといったカテゴリーがあり、そこから育った選手がピラミッドの頂点になるトップチームへ昇格していく。全国にあるクラブチーム毎に、このピラミッドを大きくしようという考えが当初から存在した。

 裾野を広げることによって、サッカーを通したスポーツ教育ができ、トップチームの選手が大舞台で活躍することによって地域が活性化するという相乗効果を期待したのだ。

 Jリーグの理念は障害者スポーツで十分に活用できると思う。繰り返しになってしまうが、裾野を広げることによって、スポーツ振興を通じた地域の活性化が期待され、健常者と障害者の両方が普段から身近にスポーツを楽しめる環境を作ることで、その地域の生活を少し豊かにするお手伝いができるのではないだろうか。