近頃、若手新司クンは憂鬱な気分だ。頭痛の種は、彼の女性上司である。いつも愛想がよく、社交的な彼女。当然、部下には人気がある。だが、若手クンにとってはまさにそこが困ったところなのだ。

 たとえば、同じ部署に今年入社した新人女性がいるのだが、始業時間ギリギリに出社してきたりとまだ学生気分が抜けきれていない。ところが、女性上司は彼女に何も言わず、ミスをしてもただニコニコしているだけ。しかたなく若手クンが注意すると、女性上司は必ず彼女をかばうような発言をする。

 あるとき、「指導するのはあなたの役目じゃないですか!」と意見したところ、「私が若い子を叱ったら、お局って言われちゃうもん。悪いけどあなたが教育係をやってよ」と信じられないような答えが返ってきた。

(冗談じゃないよ、なんのために管理職手当を貰っているんだ!?)

 新人の頃、別の女性上司に厳しくも温かく指導された経験のある若手クン。「自立した素晴らしい女性だった」と思い出すにつけ、今の上司が頼りなく思えてならない。

部下を叱れないのは
女性独特の“横並び”体質?

 部下が叱れないという女性管理職は少なからずいるようだ。2007年1月22日の日本経済新聞に、以下のような内容の記事が紹介されていた。

 「調査会社、クロス・マーケティングが1月、役員や管理職などの男女各100人に実施した調査によると、女性が部下を叱りにくい理由のトップは『人を叱るのが苦手だから』(37%)。男性より16ポイント高く、叱る行為そのものに抵抗感がある人が多い。このほかにも、『どう叱ったらいいのかわからない』(9%)など、自分の問題を挙げる比率は男性より高かった」
(※該当記事を要約)

 部下を「叱らない」のではなく「叱れない」女性管理職が多いのはなぜなのか――。

 こうした女性は、ひょっとすると人の上に立つこと自体に違和感を覚えているのかもしれない。「会社のルール 男は『野球』で、女は『ままごと』で仕事のオキテを学んだ」(ディスカバー・トゥエンティワン刊)の著者、パット・ハイム氏、スーザン・K・ゴラント氏は次のように指摘する。

「男の子は野球や戦争ごっこで、階層型ゲームのルールを学ぶ。競争や対立を通し、人間関係を築く知恵を身につけるのだ。かたや女の子はなかよしの子とままごとやごっこ遊びをして人間関係を育み、フェアな精神を持つ」
(※書籍の原稿を要約)