この季節は、政府の各種白書が目白押しに公表される時期だ。白書には多くのデータが記載されており、ある種、情報の宝庫だと言っても差し支えない。これらの白書を読み解くことで、わが国のさまざまな課題が明確な形を伴って浮かび上がる。今回は13日に閣議決定された「高齢社会白書」を紐解いてみたい。
現時点の暮らし向きは心配ないが、
要介護者が急増し、将来の介護者の確保に不安
65歳以上の高齢者のいる世帯は、2012年で2093万世帯(全世帯の43.4%を占める)であるが、その内訳をみると、単独世帯(1人暮し)が487万世帯、夫婦のみの世帯が633万世帯、合わせて1120万世帯と高齢者世帯全体の53.5%を占める。これに親と未婚の子のみの世帯の411万世帯を加えるとこの3者で約4分の3(1531万世帯)を占めることになり、三世代世帯やその他の世帯はわずか4分の1強にすぎない。1980年には三世代世帯が全体の50%を占めており、この3者の合計が約37%であったことを思うと隔世の感がする。子どもなど若い家族が高齢者の老後をケアするといった一昔前の考え方は、絵空事に過ぎないことがよく分かる。
60歳以上の高齢者の暮らし向きは、現時点では約7割が心配ないと感じているが、それは、1人当たりの年間所得(195.1万円)が全世帯平均(208.3万円)と大差がないからであろう、また世帯主が65歳以上の世帯の平均貯蓄額は2,209万円で全世帯平均の約1.3倍となっている。その一方で、65歳以上の人口に占める生活保護受給者の割合は2.63%(78万人)と、全人口に占める割合(1.58%)より1ポイントあまり高くなっている。
高齢者の健康状態を見ると、
平均寿命ほどには健康寿命が延びていないことがわかる。しかし男女とも健康寿命は70歳を超えているので、生産年齢人口を20歳~70歳と再定義する試みは、それなりの妥当性を持っていると考えられる。