待機児童解消には
まだ4000億円足りない

――保育の分野にお金を使うべきというお話ですが、現状の保育の問題点について教えてください。

 保育所に入りたくても入れない待機児童問題が都市部で深刻化しているように、現在も保育所が足りない地域がある。なかなか保育所がつくられない理由の一つは予算が足りないということです。

 これまで限られた予算のなかで、量と質を最大限充実させようとしてきましたが、それでも足りなかった。そこで子ども・子育て支援法ができ、その財源として消費税増税分から約7000億円が得られ、ようやく保育所の量を増やす道筋ができました。しかし、冷静に考えると、消費税増税による税収増加は12.5兆円です。7000億円はそのうちわずか5.6%。決して多いと言えません。

 厚生労働省からは待機児童問題の解消には1兆1000億円のお金が必要だという試算が出ています。現時点でも、まだ4000億円お金が足りないんです。

 安倍政権の成長戦略において「女性の活躍推進」は一丁目一番地。女性の活躍推進には、待機児童問題の解消が不可欠です。この問題を解決できないのであれば、「女性の活躍推進」なんて夢のまた夢でしょう。

 もし自民党が検討する方向で配偶者控除を見直しが進むのであれば、得られたお金は保育の分野に使うべきです。

――少なくとも、消費増税で7000億円の財源を得られたので、現状は待機児童問題は解決の方向へ向かっているということでしょうか。

 そうですね。ただ、保育所をつくればよいというだけではなくて、保育所で働く保育士の不足も深刻な問題です。なぜ保育士が足りないかというと、処遇が低いからです。

 保育士の平均月収は21万円で、全産業平均から約9万円低い水準です。これをある程度引き上げていかないといけません。保育士の資格をとっても、保育士にならない潜在保育士が増えていってしまいます。処遇を改善して、潜在保育士が顕在化してくれば、保育士不足は解消へ向かいます。

 保育所は保育士を雇わなくてはならないという決まりがあります。保育所を増やすのと同時に、保育士の処遇を改善して保育士を増やしていかなければなりません。