リーマンショックで供給激減
今は築浅が少ない参入の好機

 まず、賃貸住宅がどれくらい増えているのかを見ていこう。賃貸住宅経営というビジネスに踏み切るなら、市場環境を正しく掴むことは大切だ。以下は1990年以降の賃貸住宅(貸家)の着工戸数の推移だ。

 バブルの頂点だった90年には80万戸を超えていた。しかし、バブル崩壊以後の1991~97年くらいまでは、それほど大きな低迷はなく、50万戸以上の物件が建てられていた。

 注目したいのは09年の急激な落ち込みだ。98年から2008年までは浮き沈みがあったものの40万戸以上の着工があった。しかし、09年には半減し、2010年と11年は20万戸台まで落ちてしまったのだ。この時代は、まさに冬の時代。今はその冬の時代がようやく明けたころなのだ。

 ここ10年だけにフォーカスしてみると、以下のような状況だ。

 2008年以降、着工数が大きく落ち込んでいるため、はっきりとわかる。今の賃貸住宅市場には築5年以内の物件は多くない。つまり、今の市場は借り手に人気の築浅の賃貸物件は少ない状況にあるのだ。

地方では人口は減るが
世帯数は右肩上がり

 お一人様市場が拡大しているということは、数年前からメディアで盛んに言われている。地方から首都圏に人口が流入していることもあり、賃貸住宅経営をするなら首都圏が最適だと考えるだろう。

 首都圏の賃貸用マンションの一棟売りの現場では、売り物が枯渇している状況だという。「投資家が増え、値段はどんどん値上がりしている。売り物が出てもすぐに売れてしまう」と関係者は漏らしている。

 しかし、賃貸住宅経営は、地方でも十分に可能性がある。賃貸住宅建設の伸びも地方都市に広がっている状況だ。前述の日本経済新聞記事によると、13年度の前年対比を見ると高知県が78%増、徳島県64%増となっている。

 なぜ、地方都市でも賃貸住宅建設が増えているのだろうか。それには先に述べたような相続税対策ということの他に、いくつかの要因が考えられる。

 多くの地方都市では、地価の下落が続き、バブル期以前の水準を下回っている。この傾向は、今後も止まりそうにない。土地という資産が、放っておくとどんどん価値が目減りしていくという状況にある。

 そこで「だったら、賃貸住宅を建てて賃料収入を稼ごう」と考え出す地主が増えているのだ。