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DOL特別レポート
【第463回】 2014年7月31日
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ダイヤモンド・オンライン編集部

IoTがもたらす破壊的インパクト【前編】
米国で起こり始めた大変革の鼓動

活力を失った日の丸製造業は
IoTを復活の好機にできるのか

 これまでアメリカの事例を中心に紹介してきたが、日本の産業界にはどの程度IoTが浸透しているのだろうか。

 日本の製造業は“モノづくり”にこだわり、ハードウェアの精巧さに強みがあった。いまでもその強みがあり生き残れると評価する声もある。しかし、その強みがあったからこそ日本を代表する製造業であるソニーは、ポータブルオーディオプレイヤーでのデジタル化という変化についていけず、アップルに王者の椅子を明け渡すことになってしまった。

 ペンシルベニア大学ウォートンスクールのモリス・コーヘン教授は、IoTの浸透によって製造業が直面する変化について、次のように指摘している。

 「製品の価値はタンジブル(実体のある)な“モノ”だけではなく、それに対するサービスによって生み出される。したがってサービスの品質はものすごく重要だ。モノとサービスの組み合わせが、差別化につながる」

 アップルはハードウェアそのものの価値が減退し、ソフトウェアやサービスに価値の源泉が移行している流れをうまく掴んで成長した。iPodとiTunesというハードウェアとソフトウェア、及びサービスの組み合わせで、ソニーの「ウォークマン」にはない価値を生み出し、市場のルールを変え、シェアを奪った。モリス・コーヘン教授の指摘そのままである。

 IoTの浸透による変革の波は、アップルがソニーから市場を奪った背景にある変革の波よりも、よい広範囲で大きな波であることが確かだ。対象となる範囲は家電メーカーに限定されるものではないし、製品はあらゆるものに及ぶ。実際、サーモフィッシャーサイエンティフィックは総合化学サービス企業であり、トレインは空調設備メーカーだ。両者の例は価値の源泉がシフトすることを示している。ここが破壊的と言われる所以なのだ。

 では、日本の製造業がIoTの浸透による変革の波に乗れるのか――。ウォークマンがiPodに駆逐されたように、変化の波に乗れず、このまま沈没するのか――。

 モリス・コーヘン教授は「日本企業は決して遅れはとっていないし、IoTの重要性は認識しているように見えるが、変化は非常にゆっくりなものになるだろう」と話す。

 しかし、日本の製造業の業務プロセスや製造工程、組織、マネジメント等さまざまな経営課題に深く関わる、あるコンサルタントは「日本企業にある独特な組織文化やマネジメントスタイルが、変革を難しくすると思う。IoTやそれに対応するためのPLMやSLMなどのITソリューションも変革には重要な役割を果たすだろうが、その導入だけでは変革はできない」と指摘する。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

※後編は8月1日(金)公開予定です。

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