200種類以上ものクレジットカードを発行している三井住友カード。自社サイトは、各営業部隊による「バナー広告の目立つ場所」の争奪戦だった。効果も検証できていないまま、混沌としているサイトを改革すべく、解析ツールを導入。「科学的データ」に基づくサイト再構築に取り組んでいる。

「ここの場所は、ウチがもらう」−−。三井住友カード社内では昨年春まで、自社サイトのバナー広告の陣取り合戦が熾烈を極めていた。

 かつては毎月一度、顧客に利用明細を送る際、プロモーション資料やクーポンを同封するという顧客へのアプローチが定番だったクレジットカード業界。利用明細ゆえに開封率が高く、有効なツールだった。

 しかし、時代は変わり、今やウェブサイト上で明細を確認する顧客も増えた。一方、紙のプロモーションや、コールセンターによるアプローチはウェブに比べてコストが高いため、いかにして自社サイトを効率的に活用するかが課題となっている。

「まるでホームページは雑居ビルのようだった」。辻本卓也・ネットビジネス事業部グループマネージャーは、以前をこう振り返る。本来、自社サイトの構築権限があるはずのネットビジネス事業部は、いつしかサイト管理と制作を請け負う部隊と化していた。営業部隊が、一番いい場所を求めるのは当然のこと。しかし、そんな彼らにきちんとしたデータの裏付けを元に提案をし、交通整理するだけのツールを持ち合わせていなかったのだ。

 そんな状況をひっくり返したのは、「たまたま見つけた」というアドビシステムズの「Adobe Analytics」と「Adobe Target」。この2つのシステムを導入することで、訪問者がどこから来て、どのように離脱していったか、という詳細なサイト解析や、訪問者の属性や過去の訪問履歴などから、その訪問者に適したコンテンツを出すことなどができるようになる。