さらに、民間の政策提言組織「日本創生会議」が示した地域別の将来人口試算も、地方再生の必要性をいま一度認識させるものなった。試算は、地方から東京への人口流出が止まらず、2040年までに、およそ半数の自治体で、20~39歳の女性の人口が半減し、将来的に持続不可能(消滅可能性都市)になるという衝撃的なものであった。

 加えて、足元では経済の好転とともに人材不足となる企業が相次ぎ、人口減少時代の本格的な到来を国民が実感し始めたこともある。合計特殊出生率は、東京都が最も低く1.09、最も高い沖縄県で1.90、全国平均は1.41である(すべて2012年)。直感的に若者が地方から東京へ移動することが、わが国の人口減少を加速させているとの仮説は受け入れられやすく、若い世代の地方定住促進の論拠の一つとなっている。

 こうした社会的背景のもと練り上げられた成長戦略は、地方の経済を再生して雇用を生み、公共施設などを再編して住み続けられる環境を整え、若い世代を地方に定着させることを目指している。さらに明言はしていないものの、若い世代を地方に定着させることで、国全体の合計特殊出生率を引き上げ、人口減少に歯止めかけるシナリオが見え隠れする。国立社会保障人口問題研究所の中位推計では、わが国総人口は2060年には約30%も減少して、8760万人になるとされているが、「骨太の方針」では1億人と、かなり高めの目標が設定された。

 こうした政策的意図を踏まえ、本稿の前半では、成長戦略に示された地方再生策のエッセンスを示し、後半では、若い世代を地方に定着させる政策の実現可能性や「地方再生=国全体の成長」というロジックに内在するリスクなどについて検証する。

地方の経済活動を活性化し
都市の効率化を目指す

 成長戦略における地方再生の基本的なコンセプトは、地域の活力を高め自律的な成長を後押しすることである。従前のような公共事業ありきの地方活性化策から、脱却を図ろうとする姿勢は明確である。すでに動いている政策を再編成しただけとの見方もできるが、個々の政策を見れば、地域にとって望ましいものも多い。

 示された政策は、大きく分けて2つに集約できる。1つは、地域発の事業を創出し、成長産業化を後押しすること、もう1つは、高齢化・人口減少に対応した都市機能の集約とネットワーク化である。それぞれについて、すでに動いている類似事例を紹介し、成長戦略の目指す方向性を確認する。