米国景気の減速が経済統計によって裏づけられ始めた。
サブプライムローン問題に端を発した住宅・不動産、金融の混乱が、製造業や雇用に波及し始めた。1月2日に発表されたISM製造業景況指数は47.7となり、景気の分岐点である50を大幅に下回った。
ミクロで見ても販売不振にあえぐGMをはじめとする自動車はもちろん、昨年好調が続いたキャタピラー、ボーイング等も業績鈍化傾向が顕著になりつつある。
また、1月4日に発表された12月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数がわずか1万8000人の増加にとどまった。失業率は4.7%から5.0%に跳ね上がり、米国個人消費を支える雇用環境が急速に悪化している。
ホームデポ、ターゲット等の消費関連株は52週安値に沈んでおり、米GDPの7割を占める個人消費に暗雲が垂れこめている。
おそらく今年の米成長率は、四半期ベースで見ればマイナス成長となる局面もありうる。こうした状況に対して、FRBは昨年来の金融緩和姿勢を強め、景気の鈍化傾向を緩和する政策にシフトするものと思われる。
しかし、問題となるのは一方で資源・エネルギー、農産物価格の高騰が起きている点だ。WTI原油先物、金は過去最高値まで買い進まれたが、同時に穀物価格の急騰が起きていることには注意を要する。