だが現在は、当時と比べても状況は厳しい。目下、「期間満了」を口実にクビを切り易い非正規社員に雇用調整のしわ寄せが来ているが、これが正社員に及ぶのは時間の問題で、09年は「雇用動乱期」に入ると見られる。

  「前回の金融危機におけるリストラと比べ、今回の金融危機ではリストラがハイスピードかつドライに断行されている」と解説するのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林真一郎・主任研究員。

 2000年前後の就職氷河期はまだマイルドな雇用調整だったが、今回は生産活動の調整速度がオイルショック時を上回る急激なペースとなっているため、雇用調整も急速に進む恐れがあるというのだ。

  「97年の金融危機以降、企業はいざというときのために非正規社員を増やし、正社員の賃金も基本給を成果配分にシフトするなどして、人件費を流動費化して来た。そのため、低賃金や長時間労働を強いられる“名ばかり正社員”の若者が増えてしまった。その“いざ”という時期がまさに訪れている今、企業は非正規社員ばかりか正社員の固定費削減にまで手をつけ始めた」(小林研究員)

事態は90年代の金融危機より深刻
エリート正社員のクビさえ危ない!

 このようなリストラは、なにも日本企業に限ったことではない。これまで勝ち組と言われ、優秀な人材を吸収して来た外資系金融機関でも、大胆なリストラが行なわれているのだ。

 ある外資系証券出身の中堅男性社員は、「周囲では人件費の高い40歳以上が一斉にレイオフ(解雇)され、転職先が見つからない。97年の金融危機時と違い、今回はどこにも逃げ場がない。外資系社員は今や“負け組”に転落してしまった」と肩を落とす。

 これまで好調に推移していた新卒採用も、再び氷河期に突入した。ある大手電機メーカーの人事担当者は、「技術者だけは新卒を育てたいため、理工系の学生に狙いを定める。だが、営業や事務は中途採用でいくらでも採用できるため、2010年度は採用枠を減らす」と言う。12月26日の厚労省の発表によれば、12月19日時点における新規学卒者の「内定取り消し」は、すでに769人に上ったという。今後は、2000年以降に大卒就職率が50数%にまで落ち込んだ「超就職氷河期」の悪夢が再来しそうだ。

 そんななか、まだ望みがあるのは、新卒採用を行なう体力がある中小企業。これまで大手に優秀な学生をとられていた複数の中小企業経営者は、「今が優秀な学生を採るチャンス」とばかりに、目を光らせている。

 しかし、そのような企業はごく限られているため、雇用情勢が八方塞がりであることに変わりはない。今後は大失業時代に突入し、「雇用が細々と続くだけでも“マシ”」という状況になるだろう。

 まさに激変の様相を呈している日本の雇用環境。では、このような窮状を打開する有効な雇用創出策は、ないのだろうか?

 目下、政府は緊急対策や予算措置を図っているが、「予算は救援措置となるため、まず無理なリストラを行なう悪質な企業を厳しく監督しなければならない」と全労働は指摘する。