「年金収入が280万円を少し上回る層で預貯金が乏しい人には厳しい」「年収280万円超で、負担能力があると言っていいか疑問」という声が現場のケアマネジャーやサービス事業者から聞こえてくる。確かに月約23万円の収入では、大都市部での有料老人ホームや認知症グループホームへの入居は難しく、ユニット型個室の最近建設された特養でどうにか暮らしが成り立つという状況だ。

 所得による負担の違いは医療保険が先例としてある。70歳以上の医療保険の3割負担は「現役並みの所得」として、単身者所得が383万円以上となっている。それに比べると、今回の線引きの280万円以上はかなり低い。「厳しい線引きだ」と批判されても仕方ない。

 制度のあり方として「保険料に格差をつけて所得の再分配を行っているのだから、利用者負担でも再分配するのはおかしい」という指摘も国会論議の中であった。

負担額は最大4万4000円で頭打ちに
「高額介護サービス費」制度の恩恵も

 実は、2割負担がそのまま全額利用者にのしかかるとは限らない。介護保険には自己負担が一定額を超えると負担額が頭打ちになる「高額介護サービス費」という制度があるからだ。

 頭打ちになるのは一般的な課税所得の人だと3万7200円。所得が高い人は4万4400円に引き上げる。所得が高い人とは、単身者なら年金収入が388万円以上(医療保険の現役並み所得に相当する人)だ。これらの金額を超えた分は払う必要がない。

 もし、要介護5の利用者が自宅でヘルパーやデイサービスなどの在宅サービスをフルに使うと掛かったサービス費は、都市部を除く一般地域で約36万円。利用者が支払う2割負担は7万2000円となる。だが、「高額介護サービス費」の規定で3万7200円か、4万4400円止まりになるというわけだ。