学び方の構造的な変革

 国際バカロレア機構(IBO)が日本でのIBの導入にあたり、教員のあり方について次のように説明したことが印象的だった。

「IBでは、教員は、従来のようにテキストを使って教えるという方法や、すべての答えを知って黒板の前に立つというスタイルを変えて、生徒が探究したいという気持ちを持つように教育する存在にならなければならない」

 代ゼミの講師にこのようなタイプはいない。

 SGHでも同様だ。プロジェクト学習を重視する。生徒はグループの中で話し合いに参加する。そのときの教員の役割は知識を教え込むことではないだろう。

 もちろん教室の机の配置も変わる。日本特有の黒板に向かって机を並べる「スクール形式」はかえって面倒なものになる。生徒が黒板に書かれた文字をひたすら書き写すような授業はもういらない。教室のサイズも小さくならざるをえないだろう。

2008年に完成した代ゼミの旗艦校舎。館内には神社もある

 大学の講義でも同様だ。法政大学キャリアデザイン学部の田中研之輔准教授は、受講者300人の教室でグループディスカッション型の授業をファシリテーションしているが、これは例外中の例外かもしれない。それでも、教員の役割は彼のようなものにシフトしていくだろう。

 知識偏重から、考える力を重視する過程で、「内容知」から「活用知」への転換が求められる。これまでは、多くの知識を仕入れ(インプット)、その知識を求められることに応じて吐き出すこと(アウトプット)が求められていた。これからは、得られた知識や体験(インプット)から何ができるか(アウトカム)が求められるようになるのだ。この転換を考えると、予備校としても「教え込み型」ではない教育スタイルを追求することになるのだ。

私大文系の「学力試験」からの撤退

 さて、どうして私大文系では「教え込み型」になるのだろう。それは私大文系の大学入試がアウトプットを問うからである。予備校のミッションは大学に合格させることにある。入試のスタイルに合わせることが最も効率よく、かつ実績も十分に上がる。

 では、私大文系の入試はこれから変わっていくのだろうか。