課題を与えられたあと、「一呼吸おくこと」の効果

 このエピソードの最大のポイントは、マーティーに最初に与えられた任務が「自動車電話の開発」だったこと。もし、マーティーのチームがそのまま課題に取り組んでいたら、自動車電話だけつくって、プロジェクトはそこで終了だったはず。

 でも、マーティーには直感が働いた。「相手がどこにいてもかけられる電話があれば、自動車電話よりもずっと喜ばれるにちがいない」

 地球上の全人口の約3分の2にあたる約50億人もの人が携帯電話を使っている今の時代であれば普通の発想だが、1970年代前半においては途方もない発想だった。なんといっても、自動車電話をつくるという課題から、自動車そのものを取り除いてしまったのだから。

 今回の調査によると、マーティーのように一呼吸おいて与えられた課題に対して正しい問いを投げかけると、その仕事がほかの人々から重要だと評価される確率は3・13倍、複数の人々に影響を与える確率が4・12倍高まることがわかっている。

 次回は9月24日掲載予定です。


新刊書籍のご案内

デヴィッド・スタート 著/O・C・タナー・インスティテュート 著/須川綾子 訳  定価:本体1,600円+税

『500万人の成功体験からわかった 「いい仕事」をする人の45の極意』

病院の清掃係から広告営業マン、保険会社のコールセンター係、そして誰もが知る超有名起業家まで――。世界最大規模のデータベースから明らかになった、あらゆる職業に共通する「いい仕事」の極意とは? 働くすべての人に贈る、「誰にでもできるつまらない仕事」を「自分にしかできない素晴らしい仕事」に変える45の方法

ご購入はこちら! [Amazon.co.jp] [紀伊國屋BookWeb]  [楽天ブックス]