冬季加算にみる理解不能な比較と
生活保護の「住」が被災死につながった神戸

 最後に、短くではあるが、他にも数多くの奇妙な「比較」が行われている可能性について触れておきたい。

シングルマザー、子どもまでもが“見せしめ”に?<br />財務省が意図する生活保護世帯への「貧困刑」冬季に実際に必要な光熱費に比べ、現状の冬季加算は過大であるとするグラフ。現状の冬季加算でも必要不可欠の空調は実現されていないにもかかわらず、このようなグラフが提示される背景には、データ選択・計算などにわたる不適切な取り扱いがある(2014年5月30日財政審資料より)
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 今回、住宅扶助と並行して見直し(削減)が検討されている冬季加算については、「厳冬期と冷涼期を比較する(夏季は除外)」という比較が行われている。北海道や東北などの地域で暖房が必要な期間は概ね10月~5月であるが、それは考慮されず、あくまでも冬季加算の対象となっている11月~3月だけを対象として、実際の暖房経費を冬季加算より過少に見せかける操作が行われている。また、実際には冬には暖房も必要な沖縄で「冬季加算は不要」とするかのような結果も示されている。

 しかし、生活保護基準部会の作業班が行った調査は、住をはじめとする生活保護世帯の生活の「健康で文化的」とは到底言えない貧困を改めて明らかにしつつある。前回紹介した調査において、住宅扶助の上限額以下、なおかつ国交省の「最低住宅面積基準」を上回る面積・設備の住居に住んでいる生活保護利用者は、全体の約13%に過ぎなかった。この13%を100%にするためには、住宅扶助の上限額を操作するだけでは不十分である。しかし、現在の住宅扶助上限額でさえ、まったく足りていないことは明らかであろう。

 このような状態を放置しておけば、何が起こるだろうか? 1995年1月の阪神淡路大震災時、兵庫県全体での生活保護利用者の死亡率が同県平均の5.2倍であったことを挙げれば十分でないかと筆者は思う。早朝というより未明に近い時刻の震災での死者は、家屋の倒壊によるもの・その後の火災によるものも含め「住まいに殺された」と言っても過言でないからだ。その背景には当然、生活保護利用者の「住」の貧困がある。

 次回は、住宅扶助・冬季加算等の削減に対して行われた、弁護士・支援者らによる厚労省への申し入れと、その後の記者会見の様子をレポートする予定だ。厚労省は、根拠を明確にして行われた申し入れに対し、どのような対応を取ったのであろうか?