2014年10月21日、社会保障審議会・第19回生活保護基準部会が開催された。5月以来、約5ヵ月ぶりの開催である。この間、非公開の作業部会によって、生活保護世帯の居住実態調査などのデータの整理・集計が行われていた。

まだ結果の全貌は公開されていないが、調査・集計はどのような結果を語っているであろうか? 基準部会の資料からは、住宅扶助の引き下げどころではない生活保護当事者の劣悪な「住」の現状が見えてきた。

NHK「住宅扶助見直し」報道に感じた
ミスリードと禁じ得ない怒り

今回の基準部会は、注目が集まっているためか、通常の会議室ではなく省議室で開催された
Photo by Yoshiko Miwa

 2014年10月21日、厚労省において社会保障審議会・第19回生活保護基準部会(基準部会)が開催された。第18回基準部会が5月30日に開催されてから、約5ヵ月ぶりの開催である。

 この間、作業班によって非公開で、

・平成20年住宅・土地統計調査の再集計による、賃貸住宅市場の実勢と住宅扶助特別基準上限額との比較

・生活保護世帯の居住実態調査によって収集されたデータの整理・集計

 が行われていた。

 作業班のメンバーは、阿部彩氏(国立社会保障・人口問題研究所)・岩田正美氏(副班長・日本女子大学教授)・岡部卓氏(班長・首都大学東京)・駒村康平氏(慶應義塾大学)・園田眞理子氏(明治大学)・山田篤裕(慶應義塾大学)の5名である。

「生活保護の住を劣化させる意図のもとで結果を捻じ曲げるのではないか」

 という懸念は少ないメンバーであると思われるが、メンバー自身が自由に作業内容・作業にあたって用いるデータ・手法を選択できるわけではない。

 今回の基準部会を受けて、開催日には早々に「住宅扶助と冬季加算は引き下げの方向」とする報道もあった。

生活保護の「住宅扶助」 見直し議論本格化
NHK NEWSWEB 10月21日 17時50分

生活保護費のうち家賃にあたる「住宅扶助」について支給水準が高いという指摘があることから、厚生労働省の部会で見直しを行うかどうか本格的な議論が始まりました。
(略)
財務大臣の諮問機関「財政制度等審議会」は、ことし5月「低所得者の家賃より2割ほど水準が高い」という試算をまとめ引き下げを求めています。会議では、ことし8月に生活保護を受給している全国のおよそ10万世帯を対象に行われた調査結果が示され、全体の30%余りの世帯は上限額とほぼ同じ額の家賃を支払っていることが分かりました。この中には、家賃が割高なバリアフリーの住宅などに暮らす障害者や高齢者のケースや、住宅扶助が支給される受給者に対して上限額いっぱいまで不当に高い家賃を請求しているとみられるケースもあったということです。
部会は今後議論を進め、年内に住宅扶助を見直すかどうか結論を出すことにしています。