南牧村の若者たちが2010年12月、移住希望者をサポートする「南牧山村ぐらし支援協議会」という組織を結成した。村の将来に強い危機感を抱き、自ら動き出したのである。行政と協力して、半年かけて村中の空き家を調査した。そして、368軒の空き家を見つけ、入居可能な物件をリストアップ。さらに、所有者が賃貸に出してもよいと承諾した物件などを、村のホームぺージに「空き家バンク」として公開したのである。

 もちろん、移住生活者への支援も行っていた。南牧村は空き家の所有者にバンクへの登録をお願いし、移住者を増やそうと動いている。2012年10月からは体験用の民家を村が用意し、1ヵ月3万円で貸し出すという事業を始めた。南牧暮らしを実際に体験してもらい、移住につなげたいという作戦だ。

「空き家バンク」を利用して3年間で
14世帯26人が村に転入してきた

 こうした住民と行政による移住者誘致の取り組みが、南牧村に新たに動きを生み出している。この3年間で「空き家バンク」を利用して14世帯26人が村に転入してきた。また、村が用意した体験民家を利用し、その後、実際に村への移住を決めた人も現れ始めた。もちろん、こうしたルート以外での移住者もいる。転出者や亡くなる方がいるので村の人口は減り続けているが、移住者は確実に増えているのである。

「(移住推進のために)お金を出す制度はきっかけとして必要だと思いますが、カンフル剤でしかないと思います。根っこの部分で(南牧のことを)気に入ってもらう、好きになってもらうことが重要だと思います」

 こう語るのは、「南牧山村暮らし支援協議会」の金田鎮之会長だ。40代の金田さんは、創業140年の老舗和菓子店の4代目にあたる。金田さんは「移住してきた人も協議会のメンバーに加わり、一緒に活動しています。外からの人が加わり、本当に助かってます。発想や捉え方が違うので、とても刺激になります」という。

 南牧村への移住者の中には、農業を志してという人も少なくない。その一人が、昨年(2013年)4月に単身で南牧村の古民家に移り住んだ五十嵐亮さんだ。横浜出身の34歳の青年である。