4月の消費増税以降、半年以上が経ってもマンション市場が回復しない。そんななか、一人勝ちの様相を呈しているのが、都心のタワーマンションだ。外国人が買い支えているほか、相続税対策のために購入している日本人富裕層が多数いる。しかし、安易に考えて飛びつけば、思わぬやけどを負うことになりかねない。
新築・中古ともに冴えないマンション需要
都心タワーマンションだけが一人勝ち
今年4月に消費税が5%から8%に引き上げられてからというもの、都市圏で新規分譲&中古流通しているマンションの動きが鈍くなっている。
マンションに限らず住宅、不動産は高額商品だから、消費税の引き上げは一般の消費財に比べて大きな影響を受けることは予測されていたが、実際に4月以降の新築マンションの供給は大きく減少。消費税引き上げ半年を経過した現時点でもその傾向が続いている。
実は、マンション購入で消費税がかかるのは建物部分のみだ。土地売買にはもともと消費税はかからない。しかし、土地の共有持分が相対的に小さく建物価格のウエイトが大きい都市圏のマンションは、3%の消費増税によって「割高感」が醸成され心理的なハードルを高くしてしまったようだ。
増税直後に外税表示のスーパーマーケットのレジで会計のトラブルが発生したことも、消費者心理を見抜けない販売の例として報道されたが、マンション売買においては3%が100万円単位で違ってくることもあるので、その影響たるやスーパーマーケットの比ではなかったということになる。
一方、一般仲介(売主と買主が個人で不動産会社が仲介する)で流通する中古マンションでは、消費税が発生しないというメリットがある。消費増税後は、この一般仲介の中古マンションの人気が出るとの予想もあったが、実際には価格が下落基調で推移しており、マンション市場は新築・中古ともに冴えない結果となってしまった。