その次に、尿の濁りや血尿の有無、尿路感染症の有無を調べる尿検査を行ったうえで、超音波検査、尿流量測定、残尿測定などを行います。超音波検査には、下腹部表面から検査する経腹的超音波検査と、肛門から棒状の超音波探子(プローブ)を直腸に挿入して超音波を発生し、前立腺の内部を画像で撮影する経直腸超音波検査があります。また、尿流測定は、尿の勢いがどれくらい悪いかを調べるために、検査用の尿器(尿流量測定装置)に排尿してもらい、客観的に数値を測定します。残尿測定は、尿を我慢してもらって、超音波で膀胱の大きさを測ったうえで、排尿してもらい、排尿後膀胱に残っている尿の量を再度超音波で評価します。正常であればほとんど0mlです。

 いずれも特別な検査ではなく、1日でできる検査ですので、「おかしいな」と思ったら早期に泌尿器科に相談することをお勧めします。排尿に問題があるからといって、前立腺肥大症とは限りません。前立腺肥大症と前立腺がんは直接関係ありませんが、診断・検査をした結果、前立腺がんが見つかるということは良くあります。診断にあたっても、前立腺肥大症と前立腺がんは、年齢層がオーバーラップしているため、両方の可能性を考えて診察しています。

――前立腺肥大と診断されたらどのような治療を行うのですか?

 まず初期段階の治療法としては、薬物療法を行います。薬にもさまざまなものが開発されていますが、第一選択薬として、α1ブロッカーという排尿障害治療薬を使います。前立腺内の平滑筋内部に存在するα1受容体が、前立腺内の平滑筋を収縮させ、尿道を狭めているのですが、α1ブロッカーを使うことで、この筋肉がゆるみ尿道の抵抗を少なくし、尿の勢いが増すことで膀胱内の残尿も減り、排尿の回数も減ります。

 最終的に前立腺が非常に大きくなって、中を通っている尿道が押しつぶされているような状況であれば、いくら薬でも治療が困難になります。尿道が完全に塞がっているような方や、膀胱の変形がひどく尿路感染を繰り返す方、薬物治療によっても改善しない方などは手術が必要になります。しかし前立腺の大きさと手術の必要性とは必ずしも直接の関係がありません。いくら前立腺が大きくても症状がない方もおられ、手術は必要ないと判断することもあります。