日本バスケットボール協会(JBA)の組織統治力欠如に対し、国際バスケット連盟(FIBA)の制裁がついに下された。
FIBA傘下の競技団体としての無期限資格停止という厳しいもので、通告文書には国際活動の禁止をはじめ問題解決のためにFIBAが第三者委員会(タスクフォース)を設立し、ここに協会の全権を委譲することなどが盛り込まれていた。
この国際試合出場停止という処分は衝撃的だった。とくに女子日本代表は昨年のアジア選手権で優勝しており、来年8月に予定されている2016年リオ五輪のアジア予選通過が有望だったが、最悪の場合、その出場さえできなくなるわけだ。そんなこともあって、なぜこのような事態になったのかがメディアでも盛んに報じられたが、その際、大きく取り上げられたのが日本に男子のトップリーグがふたつ併存している問題だ。
なぜNBLとbjリーグは歩み寄れないのか?
日本のスポーツ界独特の「プロ・アマ問題」とは
競技の普及振興、代表をはじめとする競技力強化を進めるにはトップリーグを頂点とし、その下にレベルや年代別の階層があって底辺が広いピラミッド型のクラブ・選手層が構成されているのが望ましい。だが、日本には現在、企業アマチュアチームとプロチームが混在するNBLと完全にプロ化されたtkbjリーグ(bj)のふたつのトップリーグがある。これは正常な状態ではないから、ひとつに統合しなさいというわけだ。
制裁に至ったのは、FIBAが6年近く前からこの要請をJBAにしてきたのに2リーグ併存問題は一向に改善に向かわず、今年5月、「10月末までに事態に進展がみられなければ制裁を科す」と最後通告したにもかかわらず、統合の具体案が示せなかったからだ。
NBL、bj両リーグとも統合に向けて歩み寄りの姿勢は見せていた。が、最後の最後で合意に至らなかったのは、方向性の違いという溝が埋められなかったからだろう。いろいろな要素があるが、大きかったのはbj側がNBLの企業チームに対して出した、チーム名から企業の名称を外してほしいという要望をNBL側が飲めなかったからだといわれる。
制裁の危機が迫っているのに、なんでこんなことで揉めているのかと思う人も多いだろう。筆者はプロ化の流れが進んでいる以上、企業側が折れるしかないと考えているが、これまでの経緯を見ていると、企業、つまりアマチュアの方向性を守ろうとする側の言い分もわからないではないのだ。