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ITイノベーションのアイデアを創出する方法

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第32回】 2014年12月19日
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 また同氏は、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもない」とも述べている。したがって、自分達の知らない全く新しい要素を持ち出さなくても、従業員が保有している経験や知識を組み合せることでアイデアを生み出すことは可能である。

 一方、アイデア創出のためのワークショップ技法についても研究がなされてきた。1953年にアレックス・F・オズボーン氏が発表した著書「Applied Imagination」の中では、会議方式としてブレインストーミングが紹介され、集団でアイデアを出し合うことで相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法が考案された。

 加えて、ブレインストーミングを改良したカードBS法、ブレインライティング法なども考案されている。こうした手法は、基本的にアイデア抽出(発散)の技法に分類され、問題解決セッションなどの場面で、個人およびチームによるアイデア出しの手法として現在も利用されている。

 さらに、KJ法や因果分析法(イシューツリーなど)といった汎用的に活用できるアイデアの取りまとめ(収束)の手法に加えて、業界・市場分析、ビジネスモデル分析および戦略立案の手法として、ポートフォリオ分析、4C(自社/顧客/協力者/競合相手)分析、SWOT(強み/弱み/機会/脅威)分析などに代表されるフレームワークも多数紹介されてきた。

イノベーションのための
アイデア創出に必要なもの

 これまで紹介した手法やフレームワークは、今もなおビジネス分析や戦略立案には有効に活用できるが、イノベーションの創造においてはあまり役に立たない場合がある。イノベーションは、現状の改善にとどまることなく、既存の枠組みを超えた新たな価値の創出が求められ、現状分析からは想起されないアイデアを必要とする。

 また、イノベーションのためのアイデアは、多くの場合意外な組み合わせによって生み出される。とりわけ、ITを活用したイノベーションにおいては、スマートデバイス、ソーシャルメディア、クラウドコンピューティングといった最新の技術シーズの視点が欠かせない。

 ITの潜在的可能性と、自社の強みや顧客のニーズを組み合わせることで、これまで実現し得なかったまったく新たな付加価値が創出されるのである。付加価値は、新規のビジネスモデルや製品/サービスである必要はなく、生産・販売方式、価格、納期、品質などの革新も含まれる。同業者や競合相手がやっていない、思いもよらない組み合わせにこそ、イノベーションの種は眠っているのである。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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