創続総合研究所
知らないと損する相続・贈与の基本
2014年12月22日
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ダイヤモンド社・クロスメディア事業局

後継者がいない中小企業の選択肢は?

<3>従業員などが承継/後継者を社外から招聘
 “番頭”格の役員や有能な若手幹部に経営を委譲したり、取引先の企業や金融機関から後継者を招くケースもある。この場合、会社の所有と経営が分離することが多く、後継の経営者は単なる“雇われ社長”になる。モチベーションや報酬などの問題で経営が安定しなくなったり、外から迎えた後継者に適性が欠けていることが後から発覚したりすることがある。

<4>事業を売却
 第三者に会社を売却することで、投下資金の回収や従業員の雇用の確保が実現できることもある。特に、独自の技術を保有しているなど、いわゆる「のれん」を持つ事業では、売却がうまくいく可能性が高い。
 ただ、中小企業のM&A(合併・買収)は、まだ日本では件数が少なく、また、買い手市場の色彩が濃い。そのため、特別な「のれん」などがないと、買い主側の言い値で売却しなければならないケースも目立つ。
 売却に当たって重要になるのは決算書だ。買い手側は買収を検討する際、まず決算書から調べ始める。何期にもわたって赤字が続いているような会社の場合、買い取り価格は低くなってしまう。役員報酬を異常なくらい高額にして利益を圧縮するなど節税に励んでいると、事業売却では不利になることもある。
 決算書に次いで大切なのは、買い手側から依頼を受けて来社する信用調査機関への対応だ。調査員は依頼主の名を明かさないことが多く、M&A前提の正式な調査でないときには、全ての情報を明かす必要はない。だからといって、情報を出し渋ったり横柄な態度を取ったりすると評価を引き下げられるリスクがある。

<5>廃業
 後継者がいない場合、あるいは、それ以外の問題で事業の継続が困難な場合、残るのは、会社をたたむという選択肢だ。この道を選ぶ中小企業が多いのは残念なことだが、廃業を決めても、債務を含む財産の整理、従業員の解雇、顧客への手当てなど課題は多い。
 事業が黒字であるにもかかわらず廃業に踏み切る際には、廃業予定の数年前から保険などに加入して、課税の繰り延べによる節税を図る手がある。
 廃業に伴って必要になる費用を、この保険の解約返戻金で相殺できれば、結果として税金を支払わなくて済むこともある。
 資産の売却についても計画性が必要だ。事業用資産の買い換え特例などを活用して、売却しやすい不動産を取得しておくといった手法もある。
 売却や廃業まで含め、事業承継は一朝一夕にできるものではなく、準備に時間をかければかけるほど実効性が上がる。特に時間がかかる「人」の面での対策では、なおさらだ。
「いつごろから始めればいいですか」と問う経営者が多いが、答えは、「今でしょ!」だ。経営者なら、間違っても、「俺が死んだ後はみんなで話し合って決めろ」などと無責任なことを言ってはならない。事業承継の主導権は、事業を引き渡す側となる現経営者が握るべきものだ。

(総合監修/松木昭和)

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