デモ映像ではガラス張りの実験室内で、ホコリに見立てた色とりどりの粒子を噴射して、それらを吸い込む様子を披露。スマホの専用アプリでも操作できる未来の空気清浄機というわけだ。

「899元(約1万7000円)」。12月下旬の発売価格が発表されると、会場からは歓声が上がった。

 同社の主力商品のスマホ「mi」シリーズは、中国では米アップルのiPhoneにも負けない人気を誇る。2014年の年間出荷台数は7000万台を見込み、世界第3位のスマホメーカーに成長。韓国サムスン電子を脅かす存在になっている。その成功物語を家電製品でも再現するという話なら、大きなインパクトを持つ。

 ところが、シャオミはこの発表直後からメディアに対して「他社の模倣ではない」という釈明に追われることになる。一体なぜか。

 実はこの商品、日本の家電業界で注目を集めている独立系メーカー、バルミューダ社が丸1年かけて開発した空気清浄機「Air Engine」(10年日本発売)に酷似しているからだ。

 内側と外側に異なる枚数の羽根を備え付けた二重構造のファンは、バルミューダ独自の技術。それぞれ速度の違う風を生み出し、気流がぶつかることで自然な風をつくり出す。日本国内では特許取得済みで、中国内でも現在審査中だ。

 さらに、吸引用と送風用の二つのファンを上下に備え、内部のろ過フィルターも含めて、全て縦型にしたスリムなフォルムは日中双方で「意匠権」を取得している。シャオミの新製品は、そうした点全てが似ているのだ。しかも、驚くことに、性能面でもオリジナル商品に肉薄しているという。

 バルミューダによると14年3月ごろ、同社製品のパーツや部品を委託生産する複数の企業から不審な連絡があった。シャオミの社員が中国内に点在するサプライチェーンを一軒一軒訪ねていたという。