IoTがビジネスを変える!|ダイヤモンド・オンライン
テーマで振り返る2014年の日本
【第1回】 2014年12月29日
著者・コラム紹介 バックナンバー
ダイヤモンド・オンライン編集部

なぜ、ホンダフィットはリコールを5回も繰り返した? そして、ベネッセはどこで間違えた?
――2014年、日本企業で起きた不祥事の背景を探る

グローバル企業の蹉跌
タカタのエアバッグ問題

 ホンダのWebサイトを覗くと、2014年だけで現行フィットを含む14回のリコールが届出されている。フィットのハイブリッドに関するものを除くと、ほとんどは「タカタ製エアバッグ」の部品破裂に対するリコールだ。

 今年、世界の自動車業界全体を震撼させたタカタのエアバッグ問題。拡張時に内部の部品が爆破し、その破片が弾丸のように超高速で乗員を襲うという恐ろしい被害が報告されている。(『理念なきモノづくりは凶器と化す 人類の幸福に貢献する「日の丸製造業の使命」』

 「殺人エアバッグ」とまで言われ、国内では採用車種のリコールが相次いだほか、自動車の安全性に敏感な米国では議会で公聴会が行われ、タカタ幹部が上院、下院で証言するなどした。(『終わらないリコール問題 タカタの命運握る二つの鍵』

 だが対策の遅れや自動車メーカーとの連携のまずさにも非難が集中。12月にはストッカー社長が引責辞任した。エアバッグで世界2位のシェアを持ち、国内のほとんどの自動車メーカー、海外でもBMWなど多数の車種に採用されるタカタだけに、このリコール問題はまだまだ終息しそうもない。

 自動車メーカーのリコールの多さは、ホンダだけではない。トヨタも2014年のリコール届け出件数は17件と、Webサイトに記載されている1999年以降で最多となっている。タカタ関連以外にも多くの車種で大規模なリコールが相次いだ。

 一方、新日鐵住金の名古屋製鉄所では、今年だけで黒煙が上がる事故が5回も発生した。同じ工場でこれだけ立て続けに事故が起きるのは、こちらも異例中の異例だ。「週刊ダイヤモンド」では、コスト削減のプレッシャー、工場作業者の技能伝承の寸断などが、止まない事故の原因と指摘している。(『相次ぐ事故で技術力世界一に赤信号 減益幅より根深い技能伝承問題』

 こうした欠陥、事故について、連載【ニューロビジネス思考で炙り出せ!勝てない組織に根付く「黒い心理学」】著者の渡部幹氏は、グローバル競争による焦りが、製品やサービスの品質を脅かす一因になっていると説明する。

 「日本企業が他国の競合企業に比べ圧倒的に優れている点は、アフターサービス、クレーム対応までも含めた『製品への信頼』です。これは、技術大国として、これまで培ってきた日本企業の文化が創り出した貴重な財産です。グローバル化による競争激化で、企業はスケジュールに追われ『見切り発車』をしてないか、日本企業の本来の強みであるモノづくりの経験値は注がれているのか。改めて問われていると思います」

 問題に気づいたとき、自主的な補償やリコールを行うことは、訴えられてからより信頼の低下を抑えられるのは言うまでもない。しかしそれが頻繁に続くようになると、結局は顧客の信頼を失うことになる。やはり不祥事を未然に防ぐことが重要だ。

 渡部氏は、そのための措置として、(1)末端レベルに至るまでの労働の質、特にバラツキのチェック、(2)製品リリースの意思決定プロセスの見直し、が必要だとしている。

 松本氏、渡部氏の意見に共通しているのは、バラツキ、異常値への対応能力の低下だ。「想定外は起こる」ことを前提にした組織体制の再検討が必要だろう。

SPECIAL TOPICS


テーマで振り返る2014年の日本

さまざまな出来事があった2014年。DOLでは2015年にもつながっていく経済・社会面でのトピックとして、原発再稼働を含むエネルギーの問題、相次いだ企業の不祥事、IoT(モノのインターネット)、法制化の進展が予想される集団的自衛権に注目。新たな年を迎えるにあたり、これらについて今一度振り返って整理し、理解を深めておきたい。

「テーマで振り返る2014年の日本」

⇒バックナンバー一覧