2025年までにあと100万人必要
急激な高齢化で待ったなし介護職員不足

 新しいサービスを送り出したり、サービスの質の向上について議論してきたのが同審議会。これらを進めるには介護職員が充足していることが議論の前提である。ところが人材不足で、足元が揺らいでいる。

 団塊世代が75歳以上となり、首都圏など大都市部で大量の要介護者が出現する2025年。その時までに、今よりあと100万人多い介護職員が必要とされる。

 給与を一般産業並みに上昇させないことには人材不足の状況は変わらないだろう。欧米諸国をみると、税金で成り立たたせている北欧でも介護職員の給与は高くない。周辺の途上国からの出稼ぎや移民に頼らざるを得ないのが現実という話を聞く。

 高齢化率のスピードが世界で最も速いのが日本。高いハードルを真っ先に越えねばならない。

 経済成長を追い求める公共事業拡大に投入する税を社会保障に振り向けるべき、と言う議論がもっと起きてもいい。消費税の意義も再考を迫られるだろう。欧米諸国は20~25%の消費税を導入済みだ。15%以上でないとEUに加盟できない。10%へのアップにすら及び腰の日本とは大違いである。安定した財源は消費税というのが海外の常識だ。主要3党は消費税の値上げに合意したはず。忘れてはなるまいと思う。

認知症ケアの切り札「グループホーム」
開始3年で目標3200ヵ所をクリアしたが…

 さて、今回のテーマの認知症ケア。審議会議論を経て2015年4月以降にどのように変わるのかを見て行こう。

 認知症ケアの本命は何と言ってもグループホームである。グループホームとは、認知症高齢者が、食事や入浴などのサービスを受けながら毎日暮らす場である。個室が確保され、日中は個室の目の前の食堂兼居間で寛ぐ。入居者は9人以下に限定され、スタッフと共に家庭的な生活を営む。極めて小規模なグループ生活で、時には家事を職員と共に行う。普通の暮らしと同様の日々を送ることによって認知症特有の不安定な心情を緩和できる。

 1990年代に北欧で生まれ、「認知症ケアの切り札」と喧伝される。介護保険直前に厚労省がモデル事業として推進、各地で開設が進んだ。それまでの高齢者施策のゴールドプラン(高齢者保健福祉戦略10か年戦略、1990年から1994年)や新ゴールドプラン(高齢者保健福祉5ヵ年計画、1995年から1999年)にはない介護保険の目玉として採りいれられた。今回の制度改定で、「2ユニットまでしか開設を認めていなかったが、3ユニットに拡大する」となった。

「グループホームを広げていこうとする前向きな姿勢」と一般的には評価されているが、認知症の当事者やその介護家族からみると、「今更、この程度では」と冷淡な反応だ。「暖簾に腕押し」とも言われる。なぜか。

 厚労省は、介護保険のスタート時にグループホームを「施行5年後には全国で3200ヵ所に広げたい」と目標数字を掲げ、相当な意気込みようだった。いざ、始まってみるとその計画を上回るスピードで開設が相次いだ。「やっと受け入れ先が見つかった」「介護に行き詰った家族にとっての救世主」「家庭的な暖かい生活支援態勢がといてもいい」と高い評価を得たからだ。