

「どうせまた、コンセプト好きなIT企業が言い出した言葉だろう。それでいったい、いくら儲かるんだ」
産業界からはこんな声が聞こえてきそうだ。
実際、IoTやIoE、M2Mといった言葉は、いずれもITベンダーが声高に発表している。マッキンゼーが2013年に発表した試算によれば、「2025年にはIoTがもたらす経済効果は全世界で6.2兆ドル」だという。さらにシスコシステムズは「今後10年間でIoEをベースとするソリューションが世界全体に19兆ドルもの経済価値を生み出す」と試算する。
つまり、「これからはIoTだ」と言っているIT業界には、IoTが流行ることで巨大なビジネスチャンスが訪れるのだ。
しかし、IoTは過去の流行りとは違う。過去数年間、バズワードのように盛り上がりを見せた「ビッグデータ」や「クラウド」、「3Dプリンター」のような、流行りのIT用語のひとつであると軽視してしまうのは、間違いだろう。
なぜなら、IT企業が声高に訴える「第二の産業革命」という言葉も、決して誇張ではないと思えるような、具体的な事例が欧米で次々に起こっているからだ。
IoTを活用した事例として興味深いのは、GEだ。同社はIoTを中核に据えた「インダストリアル・インターネット」というコンセプトを掲げ、2012年から大規模な投資を続けている。
産業機械、ジェットエンジン、インフラ機器というハードウェアをつくってきたコテコテのものづくり企業のGEが、IoTを軸に企業体質、文化、収益構造を変えつつある。顧客に納品したジェットエンジンなどにセンサーを取り付け、そこから得られる膨大なデータを分析し、顧客へ効率的な保守管理サービスを提供している。「製造業のサービス業化」を突き進む同社の変化は、世界中の製造業が注視している。(『巨人GEを製造業からサービス業に変貌させる「インダストリアル・インターネット」とは何か』)