なお、08年から13年までの人出数はほとんど横ばいで300万人前後を推移しているが、これについて宅森氏は「パワースポット」ブームの影響を指摘する。

「若い世代を中心に、『パワースポット』が流行り始めたのが、このあたりの時期でしょう。景気不安感というよりも、それが人出数に影響しているかもしれません。10年くらい前までは参拝客も少なく簡単にお参りできた地元の神社にすら、最近は行列ができている。スピリチュアルなものや伝統的な行事に対する関心の高まりがあって、全体的に人出数が底上げされた感がある。社会全体の高齢化が進み、総人口が徐々に減ってきているのにもかかわらず、初詣の人出数はむしろ増えているのは、そうした背景がありそうです」

 ちなみに、初詣といえば気になるのが「お賽銭」にいくら出すかという問題だが、これはどの神社も金額を公表しておらず、残念ながら景気との関係性を分析することはできなかった。ただ、「景気が悪いから100円しか出せない」と考える人もいれば、「不景気だからこそ正月くらい景気良く大枚を出そう」という考える人もいることは推測できる。

雇用者報酬が減るとお年玉が増える!

 それを裏付けるデータとして、大人一人が子ども一人あたりに「お年玉をいくらあげるか」を調査した資料がある。これによれば、98年には一人あたり平均4069円だったお年玉の金額は、14年には一人あたり平均4905円にまで上昇している。

「このデータとGDPの名目雇用者報酬の関係性を計算すると、『名目雇用者報酬が1%減ると、お年玉が0.7%増える』というゆるやかな逆相関になっているんです。いわば景気が悪いほどお年玉の金額は増えているんですね。実際には子どもが減ってきている影響もあるでしょうが、不景気なときほど『正月くらい奮発してあげよう』という心理が働いている可能性も十分ありえます。元々、日本人が持っている気質なんでしょうね。初詣だって日にちをズラせば空いているのに、正月三が日に行くことにこだわる。季節の節目節目を大事にするというか、そういう伝統が受け継がれてるんですね」(宅森氏)

 合理性だけではない行動が生まれるのが、日本人にとって最大の「ハレ」の日である正月なのだろう。いずれにしろ、2015年が良き年になることを願ってやまない人たちが集まって、新年の三が日も神社・仏閣はにぎわうことになりそうだ。さて、2015年の初詣数は何を意味することになるのだろうか。