障害者・傷病者と
その他の生活保護利用者は分断される?

 自身が車椅子使用者である筆者は、障害を持つ生活保護利用者の「住」がどうなるのか、非常に気になる。筆者自身は、今のところは屋内では車椅子を使用せずに生活できているが、屋内でも車椅子を利用する必要がある生活保護利用者の多くは、東京都の住宅扶助特別基準額に障害者に対する「1.3倍」の特例(単身で6万9800円)が適用されても、居住できる住居に入居するのが困難なのが現状だ。ほとんどが「基準額を超える分は共益費名目にしてもらい、生活扶助から1~3万円を持ち出す」「建物が非常に古いこと・不便な地域であること・冬は寒く夏は暑いことなど何らかのマイナス要因をガマンする」のいずれか、または両方によって住宅を確保しているが、劣悪な住居によってさらに健康を害していることもある。彼ら彼女らの「住」は、どうなってしまうのだろうか?

 15ページには「個別の事情による住宅扶助特別基準の設定」という項目がある。このようなケースに対しては、

「車椅子使用の障害者等で特に通常より広い居室を必要とする場合等、当該額の範囲内では住宅が確保できない場合、更なる措置を講じることについて検討を行うことが必要である」

 と記述されている。また、多人数世帯の場合・供給が少ない地域の場合には、

「世帯人員にかかわらず、当該地域において住宅扶助特別基準の範囲内で適切な住宅がない場合であって、さらに障害等により広い居室を必要とする場合は、当該上限額を超える更なる措置を講じることも検討することが望ましい」

 とある。

 さらに、多人数世帯・子どものいる世帯については13ページにも記述がある。現在の世帯人員区分が「単身・2~6人・7人以上」の3段階で「ざっくり」すぎることを

「現在では少人数世帯が大勢を占めていることを踏まえると、2~6人世帯を同一基準としている現行の区分は、実態に即した設定とすることが望まれる」

 とした上、

「複数人数の世帯については、世帯構成による住宅のニーズの差が大きい(例えば、夫婦2人世帯と、母と年齢の高い男児の世帯など)ことなども踏まえ、柔軟な選択ができるよう留意する必要がある」

 としている。しかし、それらの区分のしかた・上限額の定め方に関する具体的な記述はまったく見られない。

 悲観的になってきた筆者は、

「立場の弱いもの同士を対立させて分断する作戦なのかなあ」

 と考えてしまう。たとえば住宅扶助基準が「障害者はそのまま、健常者は引き下げ」となったら、同じ生活保護利用者といえども、障害者と健常者の連帯が困難になる。また子どものいる世帯については、特に複数の子どもがいる場合に、低所得世帯で「生活保護の方がマシ」という現状が既にある。複数の子どものいる生活保護世帯の「住」が向上することによって、生活保護への偏見やスティグマ感は軽減されるだろうか? 少なくとも現政府は、生活保護の「住」を一部なりとも向上させるのであれば、その人々をより生きづらく、より分断しやすいようにという広報活動も同時に行いそうだ。2012年4月に激化した、河本準一氏に対するバッシングのように。