そこで、実効為替(EER:Effective Exchange Rate)を見てみよう。名目実効為替(NEER:Nominal Effective Exchange Rate)に基づくと、70近辺(2010年=100)よりも円安のときに円買い介入が行われていた(図表6参照)。直近2014年11月時点でNEERは75.7と、やはり過去の円買い介入の水準に迫っている。

注:1. REERはNEERを対象国の消費者物価指数(CPI)で実質化
  2. 1991年より前の為替介入データは公表されていない。
出所:財務省『外国為替平衡操作の実施状況』、日本銀行『実効為替レート』よりバークレイズ証券作成
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 しかも、一国の価格競争力を表す実質実効為替(REER:Real Effective Exchange Rate)は、日本が変動相場制に移行した1973年2月以降の最安値を昨年11月に記録した。

 以上を踏まえると、円安が2015年も幅広い通貨に対して(つまり実効ベースで)進むことは、徐々に想定しにくくなっている。円安のメリットを強調していた黒田総裁も、11月25日の講演(名古屋)以降、円がファンダメンタルズに沿う形で「安定」することが重要だという姿勢に転じている。円安のメリットを強調する姿勢から為替の安定を重視する姿勢に同総裁が軸足を移した背景に、REERベースでの円の減価(あるいは購買力平価(PPP)の安定化)があることは、容易に想像できる。

金融政策:
「2%」はオデッセイ、
「2年」はデルフィへ

 結局、2015年のコアCPIは原油価格の下落に伴う1次効果に強く晒される形で、前年比プラス幅が縮むであろう。こうした中、市場(債券市場は除いたほうが良さそうだが)では、一段の追加緩和(QQE3)に対する期待がくすぶり続けるはずだ。

 しかし、筆者はQQE3をメインシナリオとしていない。黒田総裁も原油価格下落については、すでに「2次効果」の方を強調することで、経済主体の期待をアンカーしようとし始めている。

 2015年の日銀は、「2年でCPI前年比2%」という目標のうち、「2%」については非常に強いコミットメントである「オデッセイ的フォワードガイダンス」として維持するであろう。一方、原油価格の急落という現実を踏まえて、「2年」については一層のソフト化、すなわち「デルフィ的フォワードガイダンス」にシフトすると見ている。