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ビジネスモデルの破壊者たち
【第328回】 2015年1月14日
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瀧口範子 [ジャーナリスト]

あなたがどこにいても追ってくる。
「ビーコン技術」が世の中に溢れてきた

空港内はビーコンが
活躍する格好の場所

 空港にもビーコン技術が入っている。

 マイアミ国際空港は、すべての入口、チェックインカウンター、バゲージクレーム、駐車場などへビーコン技術を導入した。これを通して、フライト情報、搭乗時間情報などを表示することができるようになった。

 ダラス国際空港では、荷物をチェックインした後に、乗客のスマートフォンに空港の地図が表示され、搭乗口がわかりやすくマークされるようになっている。今いる場所から搭乗ゲートまで何分かかるかも表示するという親切さだ。

 空港内では、ビーコンの使い道はいくらでもある。ちょっと小腹を満たしたい際には、どんなレストランがあるかがわかると便利だ。免税店がどこにあってどんなブランドを扱っているか、何かセールをやっているかなども歓迎される情報だろう。

 同様の便利さは、ショッピングモールやデパートでも役立ちそうだ。またコンサートに出かけた際に、その曲のバックグラウンドや楽譜などが見られたら面白いし、美術館や博物館では展示物を超えた豊かな経験がビーコンによって可能になるだろう。

 ビーコン技術ではアップルが「iBeacon」をiOS7に搭載して先手を打ったが、iOSデバイスに発信する発信するビーコンプラットフォームが増えないと、その利点は見えにくい。ただし、これがかなり大きな市場になることは確かで、その一部をアップルが収入源と目論んでいるのならば、先見の明がある。アップルを追って、ペイパルやクアルコムもビーコンに参入するという。

スマートホームにも使われる

 ビーコンは上記のような商用だけでなく、スマートホームにも使える技術らしい。スマートフォンを持ったユーザーが帰宅すると、家に備え付けられたビーコンのボックスがそれを認識して、カーテンを閉めたり暖房をオンにしたりするのだ。用途は限りなく膨らんでいくだろう。

 ビーコンのプラットフォームを舞台としたエコシステムも、新しいビジネス機会を提供するはずだ。ハードウェア、ソフトウェア、広告、プラットフォーム管理システムなどの開発会社が栄えることになる。

 ただし、いくつもの障害も待ち構えている。スマートフォンにメッセージを表示するには、ユーザーの承認が必要になる。ビーコンによる情報表示を歓迎するユーザーばかりではないはずだ。またプライバシー問題もさらに複雑になる。ユーザーの場所や行動がさらに細かくモニター可能となるからだ。

 乗り越えなければいけない壁はあるが、ビーコン技術が新しい情報プラットフォームとして注目されることは間違いない。新鮮な用途や情報に期待したい。

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SPECIAL TOPICS

瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

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