IRA(アイルランド共和軍)のように「独立」など特定の目標があるテロなら解決の余地もあろうが、被差別意識による怨恨を消すのは困難だ。一方極右が唱える移民排斥も多数の送還は実行不可能で、「出口」が見当たらない。欧州の人々は不安の中で生きることになりそうだ

(2)「イスラム国」は潰せるか?

 2011年4月に始まったシリア内戦で米、西欧、中東のスンニ派諸国は「アサド政権打倒」を公言して反政府武装勢力を支援してきたが、シリア政府軍は態勢を立て直し平定を進める一方、反政府勢力の主力は「イラク・シリアのイスラム国」(ISIS、昨年6月29日に「イスラム国」と改称)になった。

 これがイラク東部、北部にも勢力を拡大したため、米国は敵と味方を逆転させて8月8日からイラク領内の「イスラム国」拠点を航空攻撃し、9月23日からはシリア領内への攻撃も開始した。航空攻撃には米国に加え、欧州5ヵ国とカナダ、オーストラリア、中東5ヵ国の他にシリア、イランも加わり、昨年末までにのべ約1300機が出撃した。これにより「イスラム国」部隊の行動が鈍ったことは確かだが、決定的戦果はあがってない。

「イスラム国」は占拠した油田の原油をヤミルートで販売し、1日100万ドルないし200万ドルの収入を得ていると見られ、インターネットによる宣伝活動を行うなど洗練されている。だが周辺諸国が石油密輸を取締り、航空攻撃で油田の設備やタンクローリーが次々に壊されればやがて資金が細り、兵士への給与の支給も難しくなれば、急速に衰弱に向かうだろう。

 一般のゲリラは地元民が外敵に対して抵抗するものだ。敵が強力だと武器を隠して恭順を装い、敵が手を抜くと再び立ち上がるから厄介だが、「イスラム国」はイラク人の旧政権残党がシリアへ流入したり、外国から応募した者が多いから、本物のゲリラのように地元に深く根を下ろしておらず、劣勢になると分解する可能性がある。ただし壊滅した「イスラム国」の兵が出身国へ戻れば、かえってテロが転移、拡散する危険がある。

(3)経済制裁にロシアは屈するか?

 ウクライナ問題で米国、EUは昨年7月ロシアの政府系金融機関への融資の制限、エネルギー企業への技術提供の規制などの追加経済制裁を発動、日本も9月にこれに追随した。

 一方ロシアは8月に米国、EUからの農産物などの輸入を禁止した。ロシアへの投資が減少、資金の流出が起こり、さらに12月から原油価格が急落したため、ルーブルは1ドル30ルーブル台から一時80ルーブルにまで暴落した。