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iPhone対ブラックベリー
スマートフォン最終戦争の行方

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第16回】 2008年10月8日
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 ブラックベリーのアメリカでの現在のユーザー数は、1900万人。8月末までの四半期で260万人の新ユーザーを加え、今年前半だけで1100万台を出荷している。これまでの累積出荷数は4000万台。新製品が出るごとに買い替えてきた固定ファンも多い。アップルが、昨年7月から発売を開始したiPhoneを2008年末までの1年半で1000万台売り上げることを目標としているのと比べると、その凄みがよくわかる。

 ブラックベリーの強みは、何と言っても企業向けのプラットフォームとアプリエーションの充実度、そしてセキュリティーの頑強さである。独自のOSとサーバーでさまざまな企業内システムに対応し、メール、インスタント・メッセージ、スケジュール、アドレス帳だけではなく、今では顧客管理(CRM)なども、オフィスの外で安全に処理できるようになっている。大企業だけでなく、国防総省などの政府関連機関でも広く使われている、いわば汎用機だ。

 また、物理的な小型キーボード(Qwertyキーボード)も、対iPhoneで大きな強みだとされる。iPhoneはタッチスクリーンの中に出てくるバーチャル・キーボードに触って入力するが、ある調査によると、iPhoneの入力間違いはQwertyキーボードの2倍に上る。「触った手応えがある」「手元を見ないで入力できる」など、ビジネス・ユーザーからは依然として支持が大きい。

 さらに、多数の通信キャリアに対応していることも大きな魅力だ。現在、世界中でブラックベリー製品を扱うキャリアは350社を下らない。製品モデルとキャリアを使い分けながら細やかに市場浸透を進めているというところだろう。

 現在のところ、アメリカのスマートフォン市場におけるブラックベリーのシェアは54%(全世界では17.4%)。今後3ヵ月の間にどのスマートフォンを買いたいかという企業ユーザーに対する調査(チェンジウェイブ・リサーチ調べ)でも、79%がブラックベリーだと答えている。

本当の主戦場は
一般消費者市場

 ただ、RIMの先行きに不安がないわけではない。

 まず、企業ユーザーの人気調査だが、iPhone3Gが発売される前後ではブラックベリー人気に若干の変化が生じている。発売以前には82%だった支持率が79%に下がっているのだ。一方のiPhoneは、発売前の5月に13%だった支持率が17%と上昇。一般消費者だけでなく、企業ユーザーもiPhoneに目を奪われ始めていることがわかる。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

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