雪の重みへの耐性度が著しく低下
豪雪被害の対策は山林の再生から

 では、なぜ樹木は雪の重みで倒れてしまったのか。記録的な大雪の重みに耐えかねて倒れてしまったので、自然災害である――。果たして、そう結論づけて良いのだろうか。

 日本は戦後、スギやヒノキの植林を国策として推進した。補助金を支給し、全国各地の山林をスギやヒノキの人工林に変えていった。急傾斜地や道路ギリギリまでスギ、ヒノキがびっしりと植えられ、山の斜面はまるで満員電車の車内のようになった。

 しかし、スギやヒノキの植林が進む一方で、木材の自由化により林業は一気に衰退してしまった。安い輸入材に太刀打ちできず、山を下りる人が続出した。人工林は枝打ちや間伐、下草刈りとやるべき手入れがなされないまま、放置されてしまったのである。

 植えられたまま見放されたスギ、ヒノキがすくすくと育つはずもなく、山林全体が脆く不健康なものになっていった。雪の重みへの耐性度が低下していったのである。そんな病人のような山林に記録的な大雪が襲いかかったら、どうなるか。バタバタと樹木が倒れるのは無理からぬことだ。放置され続けた人工林は、もはや限界にきていると見るべきだ。

「たまに山に入るとびっくりするほど脆くなっていて、怖いくらいだ。今、日本で一番危惧されることは、山林の崩壊ではないか」

 こんな話をしてくれたのは、大雪による集落孤立を体験した地元の老人だ。

 今、最も人員と予算を投じて取り組むべき災害対策は、なによりも山林の再生ではないだろうか。手入れをせずに山をいつまでも放置し続けることは、災害を呼び寄せることに他ならないと考える。