農畜産業振興機構は牛乳消費の減少の理由を、飲料市場が多様化し他の飲み物との競合が激しくなったことと、人口の減少傾向にあると分析している。選択肢が増えたことによる「~離れ」という意味では、テレビ離れや読書離れと変わらない。全消費量の少なくとも一割を占めるとされる学校給食での牛乳供給は、業界にとってますます大きな存在となっている。

 このような状況下、好みを理由とした給食メニューからの排除は、好みの問題だからこそ牛乳にとっての真の逆風かもしれない。学校での慣習は変わりにくいもの。和食と牛乳が合わないという声がいかに大きかったか想像がつく。そこに「いや、牛乳は和食に合う!」という反論はほとんど無効だ。

 あくまで一自治体の期間限定の試みであり、他が簡単にこれに続くとは思えないが、給食イコール牛乳の常識が覆されたことの意味は大きい。関連業界だけでなく、日本栄養士会や全国学校栄養士協議会などが、主に「カルシウム不足」を理由に反対の声を上げているが、「好まない」「カルシウムは他で補う」に対抗するロジックは見つけにくいようだ。ヨーグルトなどのデザート類での代案、牛乳に合う和食メニューの提案といった道もあるが、背景にある食の選択肢の多様化を止めることは難しいだろう。

(工藤 渉)

参考:
牛乳の飲み過ぎは健康に悪い?スウェーデン研究(時事通信)

牛乳の消費動向について(農畜産業振興機構)
http://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_000734.html

学校給食の牛乳一時停止について(新潟県三条市)
http://www.city.sanjo.niigata.jp/kyouikusoumu/page00092.html