【写真4】we+
ボトルに水を入れると、世界地図が浮き上がる仕掛けに。
(C)we+(特許出願中)

 自分の好きなデザインのボトルを持つことは、クールさや個性の表現、それにちょっとした遊び心にもつながります。SIGGボトルの中にも、そんな遊び心あふれるデザインが多数あります。その1つに「we+」(*4)という若手のデザインチームが世界ではじめて企画した、水を入れると世界地図が浮かび上がるデザインボトルがあります【写真4】。

 これは、温度によって色が変化する特別なインクを使ったもので、アルミの素材特性である熱伝導の良さを巧みに活用したものです。デザイン的にも、水を入れることで地球が青くうるおっていくというメッセージ性と、見た目のわかりやすさがあります。このような遊び心を楽しめるのも、アルミという素材を用いたSIGGボトルならではの特徴です。

日本における
「水道水への信頼度」は?

 これで、SIGGボトルの特徴はご理解いただけたと思います。でも、中身が空っぽになってしまうと、水筒としての機能が失われてしまい、「どこで給水するか」という問題が出てきます。ペットボトルを買って給水するという方法がありますが、それでは本末転倒です。しかしその一方で、近くにある水道から給水するという人は意外と少ないのではないでしょうか?

 実はここに、現場が政策や社会システムよりも先行してしまうという、環境ビジネスにありがちの現実があります。「社会のシステムが整っていない中、どう対処するか」、という問題にぶち当たってしまうのです。

 スター商事の佐々木幸成副社長によれば、SIGG本社のあるスイスや、環境先進都市のドイツでは、特に環境という意識もなく水筒を持つ人が多いといいます。これに関連する興味深いデータとして、SIGG本社がアメリカの調査会社に依頼し、2008年11月に実施した「水道水の信頼度」の調査があります。

 これによれば、「水道水を信用しているか?」の問いに対し、スイスでは「とても信頼している(55%)、信頼している(30%)」と答えた人が、計85%にも達しました。また、ドイツでも「とても信頼している(24%)、信頼している(36%)」と答えた人が、計60%にも達しています。一方、日本では、「とても信頼している(5%)、信頼している(32%)」と答えた人が、わずか計37%にとどまっています。

 つまり、スイス、ドイツでは、水道水への信頼の高さゆえに、水道が給水ポイントとなっていることも、水筒が普及していることの大きな理由のひとつなのです。

“答えのない”環境ビジネスに
問われているもの

 こうした調査結果を踏まえ、本来であれば、日本でも水道水の信頼度を向上させることができればよいのですが、一企業で出来ることには限界があります。そこで、SIGGボトルの日本総代理店であるスター商事では、まずウォーターサーバーなど、「給水ポイント」の設置を進めようとしています。

 水筒が先か、給水ポイントが先かという議論は、鶏が先か、卵が先かという議論と同じですが、スター商事の佐々木副社長は、「水筒を販売する中で、はじめて給水ポイントの大切さを知り、それを知った以上、動くしかなかった」といいます。