創続総合研究所
実例でわかる「相続税の完全節税マニュアル」
【第9回】 2015年3月6日
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曽根恵子 [公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士]

一次相続と二次相続のトータル対策 【相続後の実例8】

自宅と農地は分けられない

 高橋家の農地は、自宅と農業を継承する長男が不動産の大部分を相続することに無理のない形であるため、最終的にはアパートも含めた不動産は長男が引継ぎ、長女は現金の一部を相続することで、家族間で合意しました。

 当社で不動産の現地調査をしたところ、自宅敷地の一角にあるアパートは、進入道路の奥に位置しているため、不整形地となります。また、農地は道路から2メートル近く低くなっており、造成費がかかると判断され、評価減となりました。

母親の二次相続を想定する

 一次相続では、配偶者の税額軽減の特例を利用すると、財産の半分、あるいは1億6000万円まで課税されません。これは非常に重要なポイントです。

 ところが、配偶者が相続した財産については、配偶者が亡くなったときに、相続財産として課税されます。配偶者の死亡とは、すなわち相続人が1人減ることなので、基礎控除があるといっても相続税の納税額は大きくなります。

 よって、そうした負担を避けるには、一次相続、二次相続における財産の分割の仕方とトータルの相続税額の比較検討が重要です。比較することで、納税額が少なくなる分け方を選択すればよいわけです。

 配偶者が高齢で、近いうちに二次相続が起こると想定できる場合は、配偶者が相続する比率を減らし、そのぶん子どもたちの比率を上げることで、一家で負担する相続税をトータルで減らすことが可能です。

 配偶者の税額軽減を利用すると納税は半分にできるのですが、高橋さんのケースは、二次相続時の分割の仕方による税負担を検証したところ、基礎控除が下がった場合の税負担が大きいことが判明しました。そこで、現在の市況を考慮して、母親は自宅と老後資金を相続し、それ以外の財産は長男、長女が相続し、特例が使える376万円を納税することで将来(二次相続)の負担を減らしました。なお、納税については、長男が自己資金を充てるようにしました。

 高橋さんは、以上の対策により、1697万円の節税ができました。 

◆◆節税のポイント◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
一次相続と二次相続それぞれの財産分割の仕方と
トータルの相続税額を比較検討する

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曽根恵子 [公認不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士]

日本初の相続コーディネーターとして1万件以上の相続相談に対処。感情面、経済面に配慮した「オーダーメード相続」を提唱し、安心で円満な相続の実現に取り組む。著書に『相続に困ったら最初に読む本 』(ダイヤモンド社)、『相続はふつうの家庭が一番もめる』(PHP新書)など多数。 ホームページ http://www.yume-souzoku.co.jp/


実例でわかる「相続税の完全節税マニュアル」

亡くなってからでも、生前でもできる「相続税の完全節税マニュアル」を実例で解説。プロでならではの「評価を下げる」「納税を減らす」「財産を減らす」という切り口で、一般家庭が数千万~億単位で節税できる「劇的な節税策」を伝授します。

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